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連れてこられた場所は食堂らしき部屋だった。部屋の隅には鍋や調理器具が無造作に置かれている。埃をかぶっているから、多分使った調理器具はこれとは別の物なのだろうか。
予め用意していたのか、大きな机の上には料理がいくつか置かれている。肉の入ったスープ、スライスされたパン、焼かれた果物、何かのジャム。良い匂いが漂っていた。ただ、何故か料理は一人分しかない。多分私の分なのだろうけど、リアは食べなくて大丈夫なのだろうか。もしかすると、先に食べてしまったのかもしれない。
「料理したのは久々なんだよね。お口に合うと良いんだけど……さ、食べてよ」
「ありがとう、頂きます」
まずスープの肉に口をつける。びっくりするほど柔らかい肉で、肉特有の旨味がした。くさみもない。例えるならコクととろみのある鶏むね肉のような、そんな味だ。今まで食べた事のない肉だった。一番近いのは鶏だけど、鶏よりも美味しい。調理法で美味しくなった肉ではなく、どうもこれはこの肉そのものの味らしかった。スープそのものも美味しい。
次はパンを食べる。少し固いパンだったが、スープと交互に食べると中々美味しい。焼かれた果物にも手を付ける。一口かじるとあたたかい果汁が溢れた。ジャムの瓶を開けて、パンにつける。薔薇の香りのジャムだ。口いっぱいに華やかな香りが広がる。
「ご馳走様！リア、すごく美味しかった！」
「本当に？良かった〜」
リアは嬉しそうににっこりと笑う。そういえば、と私は問いかけた。
「この肉って何の肉なの？美味しかったけど、食べた事ない味がしたから気になって」
「それ？ああ……友達が譲ってくれたの」
「友達？」
「うん。調理したのは私だけど、食材は友達がくれたんだ。二人共白蜜に会いたがってたよ」
「そうなの？どんな人達？」
「……今日はもう遅いしさ、そろそろ寝ない？食器の片付けは私がやっておくから」
「？」
その友達とやらについてあまり話したくないのか、リアはそう露骨に話を逸らす。気にはなるけど、リアが嫌ならわざわざ聞くのも悪いだろう。満腹になって眠くなってきたし、私はリアの言葉に頷いた。
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