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「もしもし、特殊部隊の者です!えー……ベイカーさん、ベイカーさん!いらっしゃいますかー?」

 表札に書かれた名前を読み上げ激しくノックをしても返事がない。専用の器具でドアを開けた。中はもちろん真っ暗だ。足下に注意しながら、あたしは懐中電灯をつけた。が、うっかり落としてしまった。

 からからと軽い音を立て、転がっていく懐中電灯。光が暗闇に伸びている。

「ったくもー、サイアク……!」

 溜息をこぼしながらも、用心して懐中電灯を取りに行く。どうやら足下はかなり散らかっているようで、何か柔らかいものや固いものが転がっていた。ここの主であるベイカー氏はさぞ掃除が苦手だったのだろう。何度かそれらに足を取られたが、ようやく懐中電灯の傍に辿りついた。

 懐中電灯を拾い上げ、ふと何気なく壁を見た。そこには高級そうな深紅の戸棚があり、中には陶器の食器が丁寧に並べられてある。

 何となく、違和感を覚えた。どうしてこんなに綺麗なんだ?足下の散らばりようからして、ベイカー氏はそこまで綺麗好きだとは思えないのだけど。メイドでも雇っていたのだろうか。

 いや、それにしても……ガラスの一部が何か汚れている。地味だが、少し目を向ければすぐ見つけられるくらいの。これを放っておくか?

 ……そういえば、床に散らばっていた柔らかいものや固いものは何だったんだ?あたしは振り向いて確認する。

「ひっ……?!」

 肉と骨だった。

 髪の毛や服までくっついている。どうやら、ばらばらにされた成人男性の死体のようだ。おそらくはベイカー氏だろう。溢れる血がまだ赤い。ついさっきまで生きていた証だ。

 つまり、先程あたしが踏んでいたのは……よそう、気持ち悪い。あたしは頭を振り、部屋の観察を続けた。

 戸棚のガラスにこびりついていた汚れは、どうやら血のようだ。血飛沫が飛んだのだろう。死体の服もよく観察してみる。ばらばらになっているため分かりにくかったが、どうやら高そうな黒いスーツと赤いネクタイのようだ。部屋着、というものではもちろんないだろう。切り口の断面をよく見てみると、何か鋭利なもので斬られたようだった。

 いったん部隊長のイェイヴお姉様に連絡をとろう。そうトランシーバーを出した、その時。

「……?」

 ぴちゃり、と、頭に何か滴った。上を見上げると、そこには人間のような何かがいて……それは唐突にあたしに覆い被さってきて、あたしは意識を失った。

第百三話 レヴィアタン→←第百二話 富岡



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キューブ(プロフ) - 更新しましたー (2020年5月11日 22時) (レス) id: ed034718e4 (このIDを非表示/違反報告)
キューブ(プロフ) - 更新しますー (2020年5月11日 20時) (レス) id: 8222095e45 (このIDを非表示/違反報告)
ねこうさぎ(プロフ) - まだ完成してませんが、一応更新完了です。 (2020年5月11日 20時) (レス) id: b133b7d73b (このIDを非表示/違反報告)
ねこうさぎ(プロフ) - 更新致します。 (2020年5月11日 16時) (レス) id: b133b7d73b (このIDを非表示/違反報告)
ねこうさぎ(プロフ) - 更新完了しました。 (2020年5月10日 15時) (レス) id: b133b7d73b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ミクミキ | 作者ホームページ:http  
作成日時:2019年12月16日 21時

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