メール ページ25
「……」
気持ち良く昼寝していたってのに、なぜか起きてしまった。
首を軽く鳴らす。二度寝しようと思ったけど、喉が少し渇いていたからベッドから起き上がる。
照明がついてない。眠っていたから、野々華さんが消してくれたのかな？窓とかもないから、照明がつかないと何も見えない。魔法を使えば暗くても簡単に見えるようになるけど、わざわざ使うほどでもない。部屋だって、そんなに広いわけじゃないんだし。
壁伝いに照明のスイッチへ向かおうとして、気付いた。
スイッチには小さなランプがついている。照明がない時には、見えやすいようほんのり光る。なのに、それがついてない。
停電かな？
社員証で野々華さんに連絡をとろうとするけど、繋がらない。何かあったのだろうか？途端に不安になる。社員証の光だけを頼りにして、カチュアの側に行く。
「カチュア、カチュア、起きて。起きてったら」
「……んー」
カチュアは起きない。寝起きが悪いのだ、こいつめ！あたしは一旦ため息をついて、社員証をもう一度眺める。
よく見ると、通知が二つ。D社管理AIからのと、野々華さんからのメールだ。
少し考えて、AIからのメールを先に開封する。
『D社の社則により今月は職員全員の一ヶ月の休養期間となりましたので、A-121-Bの期間内の外出を禁止します。また、不具合により停電が発生する可能性がありますが、その際は取り扱い説明書に従って収容室内の発電装置を起動させてください。一ヶ月分の食料を配給しました。一日三袋のみの摂取を推奨します』
嘘でしょ？あたしは思わず目を見開く。
そんなの聞いてないわよ。
叫びたくなったけど、こらえる。野々華さんからのメールも読まなくちゃいけない。
『華璃、カチュア、今月は外に出てはいけません。まずは、部屋の隅に置いてある発電装置を作動させてください。それが終わったら、食料を食べましょう。一日三袋、一食一袋だけですよ。消耗を控えるためにもなるべく動かないようにしてください。少しだけゲームをするだとか、そのくらいなら良いのですけど。決して食料を食べ過ぎてはいけませんよ。それから、絶対に外に出ない事。何があっても、絶対に』
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