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あなた達のような愚かな人には分からないでしょうね。この生き物の肉がどんなに価値があるのか。
目の前の人に話しかけるの。その人はとっても悲しそうな顔をしていたわ。でも、私が悪いわけじゃない。私はちゃんとお願いしたのに、ここの人達はやっぱり私の願いを叶えてくれないのだ。
森の奥地、エルフ達が住む村があるの。そしてそこでは、神様の使いだっていう獣がいてて、この村のエルフ達はそれを信仰しているんですって。それでね、その獣の肉はとても美味しいらしいのですって。だから私、わざわざこんなところにまで出向いたというのに、彼らは私にそれをくれなかった。
焼き払おうとしたけど、森の中だからって部下に止められて。代わりに皆を洗脳して、私の下僕にしてあげたの。残りは目の前の一人だけ。
彼は悲痛な面立ちをしている。なんだか可哀想ね。もしかすると、彼らもあの肉を食べたかったのかもしれないじゃない。だとしたら名案があるわ。
私は、連れて来た料理人に指示を出す。料理人は包丁を器用に使って、大きな肉をスライスし調味料を振りかけて、炙っていく。辺り一面に芳ばしい香りがした。それを皿に載せて、恭しく運んでくるのは私の下僕。他の下僕達に用意させた椅子に座る。
差し出されたナイフとフォークを手に取り、早速私は食べてみた。
不味い。
思わずペッと吐き出して。そしてそれは、悲しそうな彼の顔に当たる。あら、ごめんなさい、悪気はなかったの。でも私はあなたに苛立っているから、もしかするとわざとかもね。
まあ、味付けが悪かったのかもしれないわ。もしかすると内臓が美味しいのかも。この辺りにまだまだたくさんいるだろうし、全部捕まえましょう。ついでに、新しい下僕も欲しいわ。それにここは森だし、木材もたくさんあるという事よね。折角だしもらっていきましょう。
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