人工物、あるいは人ならざる者 (ページ38)

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外伝24 ページ38

「まだ帰ってこないのかしらね」

　ダイニングルームの椅子に腰掛け本を読みながらジェベリアは独り言を呟いた。

　仕事でジョンが出張して三日目。ジェベリアは退屈な日々を暮らしていた。ダーリンがいなくたって平気よと言っていられたのは一日目までで、ジェベリアはジョンのいない寂しさからか不機嫌だった。

　ジェベリアは普段、ジョンの運転する車に乗って会社に向かったり帰宅したり、移動をともかくジョンと一緒にしていた。しかし実のところジェベリアはその気になれば一人で会社にも行ける。あえてそれをしていなかったのは、ただジョンと一緒にいたかったから、それだけの理由なのだ。

　予定のずれがなければ、ジョンは今日帰ってくるはずだ。だから今日は特別頑張って夕飯を作ったし、苦手な風呂掃除もして、疲れのとれるアロマを焚いた。ベッドメイクだって万全だ。きっとジョンは疲れて帰ってくるだろうから、少しでもその疲れがとれれば良いのだが。

「ただいま」

　玄関からそう声がする。待ちわびた声、ジェベリアが最も好む声だ。ジェベリアは興奮に胸を昂らせながら、しかしそれをなるべく抑えながら返事をする。

「おかえりなさいダーリン。ご飯できてるわ。お風呂も沸いてるし、もちろん……私でも構わないわよ？」

「ありがとう。ご飯からもらいたいな」

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