外伝21 ページ35
ジェベリアはソファにうつ伏せに横たわり、夫から借りた本を読んでいた。近くには読み終えた本とまだ読み終えてない本が積み上げられ、二つの塔を作っていた。
兵法書はジェベリアの趣味に合わなかったのか、数ページほど斜め読みしたら塔の一部にし、新しい本を取り出す。
恋愛物なんてないのかしらとジェベリアは思った。彼女はラブロマンスに別段興味はなかったが、ジョンがそういう類いの本を読んでいたらどれほど面白いだろうかと思ったのである。だがその可能性は低そうだ。
挿し絵がほとんどない文字ばかりの本をぺらぺらとめくる。しかしやがて飽きたのか、ジェベリアは起き上がった。本の山を抱えて、ジョンの部屋へ戻る。
「ダーリン、開けてもらえる?」
扉の前でそう呼び掛けると、油がよく蝶番に差されているようで、音もなく扉は開いた。
よっこらせと本の山を置く。整理して本棚に戻さなければいけない。少し面倒だが、ちゃんとやらなくてはならない。マナーである。
「面白かったかい?」
「あんまり。ダーリンには悪いけどね」
軽く肩を竦めて見せる。そもそもジェベリアはあまり本を読むタイプではない。精々写真集や漫画(当然ながらグラビア雑誌も含まれる)を読むくらいである。そんな彼女には挿し絵の少ない文字ばかりの本は、まだ早かったのだろう。ジョンの好きなものを好きになりたいと思ったが、まずは児童向け文庫本から読み始めるべきだった。
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夜(プロフ) - 素晴らしいお話、ありがとうございます。楽しみに待っています (2021年7月22日 13時) (レス) id: 1f55a4bce5 (このIDを非表示/違反報告)
つーちゃん - ください (2021年7月4日 14時) (レス) id: 84f4461b32 (このIDを非表示/違反報告)
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