人工物、あるいは人ならざる者 (ページ34)

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外伝20 ページ34

「へいへいへーい、遊びに来たわよ」

『帰れ』

　来客用のソファにどっかと座り手を振るマロモにジェベリアはそうテレパシーで対応する。マロモは珍しく、人間の頭をしていた。

　普段通りの、脳が剥き出しの変な姿でいたら良かったのに。ジェベリアはそう思う。そっちの方が美味しそうだったのに。それに、それなりに可愛い顔をしているのも何だかムカつくわ。

「あれ、どうしたのその顔。すっごく肌荒れしてんじゃなぁい、化粧選びミスった？骨見えてるわよ」

『違う。ちょっといろいろあったのよ、気にしないで』

　テレパシーでそう返す。血が流れすぎたせいか、傷の治りが異常に遅いのだ。治療用の輸血液を使用しようと倉庫へ向かっていた途中に、招かれざる客に気付いたのである。

　テレパシーを習っておいて良かったとジェベリアは思った。声が出せない状況ではこれがやりやすい。

　ジェベリアは軽く肩を竦めながら、とりあえずくつろぎなさいよと、椅子を利用して苦労しながら食器棚から茶器を取り出す。水を沸かして茶葉を入れ、できあがったハーブティーをいくつかのバタークッキーと一緒に出した。マロモはあらどうもと食べたり飲んだりする。

「治そうかそれ？」

　血があればすぐ治るわ、とジェベリアは断る。マロモの手を借りたら、治療のついでにどんな改造を施されるか分かったものではない。友人のセンスの良さをジェベリアはとことん理解していた。

　あら、そう。そう返し、マロモがハーブティーをもう一口飲もうとしたその時、彼女の頭が弾け飛んだ。

　振り向くと、拳銃を手に持ったジョンがいた。どうやら彼が放った凶弾がマロモの頭を貫いて木っ端微塵にしたらしかった。

「ああ、これじゃ掃除が面倒だね」

『そうね。私がやっておくわ。それより発作は大丈夫？結構激しかったけど』

「だいぶん楽になったよ。悪いね」

『良かったら輸血液とってきてくれる？やっぱり喋れないのは不便よ。歩けないし飛べないし、片手がないとバランスとれないわ。何より血で汚れる』

「分かったよ、すぐにとってくるね」