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「ダーリン、ちょっと良い?」
業務を終えて自宅に帰ろうとするジョンをジェベリアが呼び止める。周囲にはもう人がいない。
ジョンの袖を引いて、ソファに座らせる。ジョンは抵抗しない。されるがままだ。無言ではあるが、何をするんだい?と、いつもと変わらない笑みを浮かべながら鈍い色の目で問うている。
ジェベリアはジョンの膝に跨がり、そのまま寄りかかって体重を彼に預ける。顔をぐいと近付けて、そしてジェベリアはジョンの右手と指を絡めて、左手の薬指に、隠し持っていた指輪をはめた。
「良いでしょ、ね?」
疑問形ではあるが、その実命令形である。
ジェベリアの考え付いた案というのは、何という事はない。結婚だった。付き合うというのも悪くはなかったが、結婚の方がより明確な感じがしたし、何よりジェベリアはマロモの言う通りにするのが癪だったのである。
本来結婚というのは、そんな軽い気持ちでやるようなものではないとはジェベリアも知っていた。しかしそれ以上に、ジェベリアにはジョンと共にいたいという願望があったのである。
ジョンは一瞬、目を見開いた。だがそれも一瞬の事。まばたきする間にジョンはいつもと変わらない笑みを浮かべた。
「はは、良いよ。キミのそれに付き合ってあげる」
「あら、ありがとうダーリン。愛しているわ」
普段のように軽口を叩いて、ジェベリアはジョンの頬にキスをした。
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夜(プロフ) - 素晴らしいお話、ありがとうございます。楽しみに待っています (2021年7月22日 13時) (レス) id: 1f55a4bce5 (このIDを非表示/違反報告)
つーちゃん - ください (2021年7月4日 14時) (レス) id: 84f4461b32 (このIDを非表示/違反報告)
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