外伝11 ページ25
ジョンから与えられた一室で、ジェベリアはうんうんと唸っていた。
ジェベリアは箱を見つめている。中身は靴だ。ジョンにサプライズでプレゼントをしようと、秘密裏に用意したものである。非常に高価なその黒の革靴は丈夫で、人間をどれだけ蹴り殺し踏み殺しても新品のような輝きを保つ、らしい。
気に入ってくれるだろうか。どう渡したものか。渡す時に何と言えば良いだろうか。ジェベリアの悩みはそこであった。誰かに贈り物をした事なんてなかった。ましてや、大切な人になんて。恥ずかしい!
一時的に羞恥心を消す薬なんてないかしら。今からでも商品開発部に問い合わせようかとジェベリアはぼやく。だがそれを実行するにはリスクが高すぎた。金はいらないから実験動物になってくれと言われる未来が目に見える。ジェベリアの商品開発部のイメージは
唸りながら靴の入った箱を見つめていたジェベリアだったが、覚悟を決めたのか、立ち上がる。机の引き出しからメッセージカードをいくつか取り出し、何かを書いては納得いかないように捨てた。
やがて一枚のメッセージカードを完成させたらしい。メッセージカードと靴の入った箱を持って部屋を出て、夫のいる部屋に向かう。
「ダーリン、ちょっと良い?」
扉越しに声をかける。どうしたんだい?と返事をするジョンに、私が合図するまで目を閉じていて。とジェベリアは言った。
扉を少し開けて、ジョンが目を閉じている事を確認したジェベリアは、素早く箱とメッセージカードをジョンのそばに置き、部屋から出て扉を閉める。良いわよ、と声をかけ、ジェベリアは自室に戻った。今話しかけられたら、羞恥でどうなるか分かったものではない。
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夜(プロフ) - 素晴らしいお話、ありがとうございます。楽しみに待っています (2021年7月22日 13時) (レス) id: 1f55a4bce5 (このIDを非表示/違反報告)
つーちゃん - ください (2021年7月4日 14時) (レス) id: 84f4461b32 (このIDを非表示/違反報告)
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