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「……どこなの、ここは？」
走り続けてようやく辿り着いたのは、奇妙な部屋だった。まだ朝のはずなのに、暗くて、冷たい。夜の風みたい。テーブルの上の燭台だけが、この部屋に頼りない光をもたらしていた。そのせいで、部屋の奥まで見えない。
「ごめんなさい、遅くなったなの！」
「大丈夫よ、エマちゃん。まだ余裕はあるわ。ウィリアムもまだだし、気にする事ないからね」
ウッズと会話しているのは、誰なのかしら？茶髪の女性だわ。黄色の軍服が似合う、凜とした雰囲気の女性。お金持ちそうな髪型をしていて、大きな瞳は焦げ茶色をしている。暗い色の服に似合いそうだわ。
「あら、アリザ・リースさんね。私はマーサ・べハムフィール。空軍よ。サポートは任せてちょうだい！」
「ありがとうございます。よろしくお願いいたしますわ、べハムフィールさん」
サポート、と言ったけど、ゲームでは具体的に何をすれば良いのかしら？暗号器、とやらを解読して、ゲートを開ける、のよね？確か、ウッズはそんな説明をしていた気がする。
「にしても、あいつはまだなの？エマちゃん、来る途中で、あいつ見かけた？」
「はい、急いでいたみたいだし、もうそろそろ来ると思うなの！」
他にも、誰か来るのかしら？椅子は五つあるけれど、そのうち一つは座れなさそうなくらいボロボロなのだけど。ちょっと、これ邪魔よ。修理するか、片付けるくらいしなさいよ！いっそ蹴り壊してやろうかしら。
「わりぃ、遅くなったわ！」
大きな声がした。見ると、変な服装の男の子が。無駄にガタイが良いけれど、誰なの？手には変なボール持ってるし。なんだか、熱血漢みたいだわ。それに、汗臭そう。
「ちょっとウィリアム！遅いじゃないのよ！」
「わりぃってば。朝飯が美味しすぎてよ……ん？おー、新入りのやつか！俺、ウィリアム・エリス！困った事があったら、いつでも言ってくれよ！よろしくな、アリザ！」
そこまで言って、ようやく私に気がついたみたい。にこやかに言う少年。なんだか、餓鬼大将みたいね。あるいは、頼れる兄貴？同年代の人達に好かれそう。
頬杖をついて、燭台の炎を見つめる。ゆらゆら揺れて、部屋に小さな明かりを投げやるそれは、どこからか吹き込んできた隙間風に、呆気なく消え去る。
完全な暗闇。けれど、誰も騒がない。初めから分かっていた事みたいに。私も、不思議と怖くなかった。目を閉じる。風を感じる。その中に、土の匂いが混じって……。
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ミクミキ(プロフ) - YUKARI♪さん» ありがとうございます！ (2019年11月17日 18時) (
レス) id: eada72cfbe (このIDを非表示/違反報告)
YUKARI♪ - イベントからきました！とても面白かったです！野菜さんと同じようにミクミキさんの描写好きになりました(^^) (2019年11月17日 15時) (レス) id: 100fae83aa (このIDを非表示/違反報告)
ミクミキ(プロフ) - 野菜さん» ありがとうございます！励みになります！ (2019年7月20日 22時) (レス) id: 86a9e09b47 (このIDを非表示/違反報告)
野菜(プロフ) - ミクミキさんが書く言い回しや描写がとても好きです！待っていた甲斐がありました！これからも更新頑張ってください！ (2019年7月20日 21時) (レス) id: d6aefcc85a (このIDを非表示/違反報告)
ミクミキ(プロフ) - 猫夜桜((シラキさん» ありがとうございます！ (2019年3月21日 8時) (レス) id: eada72cfbe (このIDを非表示/違反報告)
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