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「……あ、イソップさん！」
ようやく食堂に辿り着く頃には、窓の外は明るくなっていた。中を覗くと、既に何人かは朝食を食べ終えていた。美味しそうな匂いが、鼻腔をくすぐる。そのせいで、お腹が鳴った。
「……え？あの、アリザ、さん？どうし、え？」
……ウッズが怯えている？真っ青な顔をして。なぜ？……ああ、そういや、傷だらけだった。怒りのあまり、顔面乱れ引っ掻き。流れた血液は、既に茶黒く乾いているから、そこまで怖くないと思うんだけど。でも確かに、見ていて愉快なものではないわ。
「ああ、これ？これね、虫に刺されて、かゆくて仕方なかったのよ。それで、引っ掻いちゃって。ごめんなさい、汚いわよね。顔、洗ってくるわ。洗面所の場所、教えていただけなくって？」
「わ、分かったですなの！イソップさん、エミリー先生を連れて来て！」
「え？」
「良いから、早く！」
虫に刺されてこんなになるまで引っ掻いた、というのは、流石におかしいだろうけど。けど、ウッズはそんな事を考える余裕がないみたいだった。慌てたように、カールに何かを指示している。
エミリー？聞いた事、あるような。誰だったっけ。……そうそう、あのナース風の医師だわ。エミリー・ダイアー。傷の手当てでもしてくれるつもりなのかしら？気持ちは嬉しいけど、代金どのくらいかかるのかしら……？私、貧乏だから、あまり大金だと、ちょっと。
「ついて来てくださいなの！」
強い力で、手を引っぱられる。鬱血しそうなくらいだった。彼女、焦っているのかしら。どうして？そんなにひどい顔だったの？
廊下を走る、走る、走る。歩幅の違いでか、ウッズの方が遅いから、どうにかついていけるんだけど。でも、そんなに走らなくても良いでしょ？何を焦っているのかしら。
真意を知りたくて、腰を曲げて、彼女の顔を覗き込んでみる。けれど、やっぱりよく分からなかった。つやつやとしたボタンの瞳が震えている事だけが、妙に印象的だった。彼女の瞳、服のアクセントの飾りボタンにぴったりだわ。美しく鮮やかな緑色は、皆の目を引くに違いなかった。
そんな事を考えているうちに、彼女は一つの扉の前で止まった。取っ手をガチャガチャと鳴らして、乱暴にこじ開けて、入る。高そうな扉なのに、罰当たりだわ。昨日、蹴り開けた私が言うべきではないのだろうけど。
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ミクミキ(プロフ) - YUKARI♪さん» ありがとうございます！ (2019年11月17日 18時) (
レス) id: eada72cfbe (このIDを非表示/違反報告)
YUKARI♪ - イベントからきました！とても面白かったです！野菜さんと同じようにミクミキさんの描写好きになりました(^^) (2019年11月17日 15時) (レス) id: 100fae83aa (このIDを非表示/違反報告)
ミクミキ(プロフ) - 野菜さん» ありがとうございます！励みになります！ (2019年7月20日 22時) (レス) id: 86a9e09b47 (このIDを非表示/違反報告)
野菜(プロフ) - ミクミキさんが書く言い回しや描写がとても好きです！待っていた甲斐がありました！これからも更新頑張ってください！ (2019年7月20日 21時) (レス) id: d6aefcc85a (このIDを非表示/違反報告)
ミクミキ(プロフ) - 猫夜桜((シラキさん» ありがとうございます！ (2019年3月21日 8時) (レス) id: eada72cfbe (このIDを非表示/違反報告)
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