第六十九話 レヴィアタン ページ21
ワタシはたくさんの玩具を作り上げてきた。ワタシの作った玩具はとても優秀なやつばかり。でも、制御のできない“あれ”は、ワタシの唯一の失敗作。
“あれ”は認識災害だ。
“あれ”を知った人間はだめになってしまう。“あれ”は見てしまった人間が増えれば増えるほどにどんどんと強くなる。
だから、ワタシは“あれ”を地下更に深くに封印した。“あれ”を知っているのは、生みの親であるワタシと、軍部サービストップだけのはずだったのだ。
でも、“あれ”は制御できなかった。ようは認識してしまえばいいのだ、それが正しい形である必要なんてない。それを、ワタシは知らなかった。まあ、もはやそれは知っていてもどうしようがなかったものではあるのだけど。
羅光公園には願いを叶える薔薇があるなんて噂、いったい誰が広めたのやら。
“あれ”が封印されているのは羅光公園の地下深く。“あれ”と薔薇は何ら関係がないものだった。だが、“あれ”はあの噂を“認識”として活性化していたのだ。
唯一の救いは、認識の主体が“あれ”ではなく薔薇だった事だろう。活性化して得た力のほとんどを薔薇に吸われてしまったようだ。
代わりに薔薇が活性化してしまったが、薔薇が暴れても東区が潰れるだけだから問題はない。本当はあるのだけど、“あれ”と比べたらまだましだ。
閑話休題。
男の子は、静かに頭を振った。何事かを一言二言呟いて、片割れに声をかける。
「行くよ、フラム」
「行くノ、兄さん?」
兄さん、という事は、やはり双子なのだろうか?よく似た二人の兄弟は、ワタシに背を向けて部屋を出て行く。振り向きざまに、男の子の片方が言った。兄さんと呼ばれた方だ。
「どうして、あんなものを作ったの?」
「さあ?どうしてだろうね」
“あれ”を作った理由なんてない。しいていうなら、気まぐれ。その気まぐれがここまでおそろしいものになろうとは、思ってもなかったのだ。
まあ、良いじゃないか。止めようとはしたんだから。努力はしたんだし、もうそこまで気にしなくても良いだろ?
ふと、コンピュータがホログラムを展開する。あれ、壊れてなかったのかな?ワタシは溜息を一つ吐いて、コンピュータをつついた。
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ミクミキ(プロフ) - 終わりました! (2019年12月16日 22時) (レス) id: eada72cfbe (このIDを非表示/違反報告)
ミクミキ(プロフ) - 更新します! (2019年12月16日 22時) (レス) id: eada72cfbe (このIDを非表示/違反報告)
キューブ(プロフ) - 更新しましーた (2019年12月16日 22時) (レス) id: ed034718e4 (このIDを非表示/違反報告)
キューブ(プロフ) - 更新しまっす (2019年12月16日 21時) (レス) id: ed034718e4 (このIDを非表示/違反報告)
ミクミキ(プロフ) - 終わりました! (2019年12月10日 22時) (レス) id: eada72cfbe (このIDを非表示/違反報告)
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