フォビアコンプレックス

第三十四話　富岡 ページ35

「翠様、また新しい資料がきてますよ」

「うげぇ、またなん？」

「はい。まぁーた新しいミュータントが誕生したみたいですね。えーっと、ナンバーは５６４０、コードネームはアラクネ。写真もありますが……全裸の女性なのでやめておきますね」

「うへぇ、ほんま？ありがとな富岡。……しかしなぜに全裸なんやろか？」

「さあ……？」

　補佐官のところへは、情報が『紙』という旧文明のものに記されている書類が送られてくる。なぜ『紙』などという機密性の薄い、古い文明のものを使うのかはよく分からないが、ともかく、あたしは翠様へそれを渡す。

　次はサキュバスから抽出した物質である『サキュバシウム』の売り上げの記載……これは商業サービスとの契約書か。それと、こっちは『食用アルラウネ』に関する食品サービスとの契約書。医療サービスのは……今日はないようだ。

　今日は書類が少ないが、これも現場での仕事が早く終わったからだろうか。もしかすると隠蔽とかされていたりするかもしれないが、その時はあたしが翠様の耳に入れる前に握り潰すので問題ない。

「翠様の残りの仕事はもうありませんね、お疲れ様でした！食器はあたしが洗っておきますから、お風呂入ってください！」

「いつもありがとな〜」

　翠様は大きくのびした。一日をやりきって、さぞ疲れていらっしゃるだろう。早く休んでもらわないと。

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