リクエスト【ＶＥＲシアン空団】

番外編〜ノワールとフォビア〜 ページ10

「……やっぱりイケメンだワァ」

　西棟、備品室。

　機械のパーツや、大きな方眼用紙、天体望遠鏡、鉄パイプ……何に使うのかすら分からないような、変な形をしたガラクタまで、ともかくたくさんの道具が散らばる部屋。

　その部屋の片隅で、イケメン……ノワールは、何かの分別をしていた。棚にしまわれている備品を取り出しては戻し、床に散らばる備品を棚にしまい、かと思うと、棚の備品を別の棚に移したり。

　何を基準にして分別しているのかすら、アタシにはさっぱり分からない。共通点のない、形も素材も全く異なる備品を、これはこっち、これはあっち、と、棚の中を行き来させていく。

　ふと、彼が振り返った。

「先ほどから、どうかなさいましたか？」

　？！

　気付かれてた？！嘘でしょ、ちゃんと気配は消していたはず！なのにどうして？！ああ、ともかく誤魔化しましょう！落ち着くのよ、フォビア・カンターレ！

「イ、イエ？何の事カシラ？」

「先ほどから、そちらにいらっしゃいましたよね？もしかして、具合が悪いのですか？」

　！

　そうよ、それだわ！そうしましょう！『あなたを観察してました』とか、絶対に言えないし！具合が悪くて立ち止まっていた事にしましょう！

「……ソ、ソウなのヨネ！備品を見に来たのだケド、チョット、頭が痛くテ」

　顔をしかめて、頭を抑えてみせる。いかにも『頭痛い、調子悪い！』って感じに。……ついでに部屋まで連れてってもらえたら御の字！

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