心が、体が、君を呼ぶ (ページ4)

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バスケするページ4

ボールは宙を高く舞ってゴールに導かれるように落ちていった。
「え…、え！？」
日向は、こちらに向かって車椅子を漕ぐと目をぱちくりさせた。
「すげー、すげーよ。つきよ、さいのーある！」
そこは、スリーポイントラインより、だいぶ外側だった。
「そう…？」
えへへ、と、少し笑う。
「えがお、いいじゃん。いつも笑ってなよ。」
日向は、そう言ってこちらをむく。
私は、少し俯いた。
「うん、わらう。」
「いいじゃん、いいじゃん。」
バスケ、楽しいな。
これが、私とバスケの出会いだった。

7年後

「あー、もしもし？日向。試合？あぁ、みたよ。なかなか、いいんじゃない。でも、もうちょっとさぁ…、え、今から来るの？おっけー、ばいばい。」
携帯電話を机に置くとそっと、天井を見た。
病院の談話室は今日も結構賑わっている。
「月くーん。やっほ。」
「たかなちゃん、退院したんじゃなかったの？」
「再発はしてないんだけどーちょっと、再発ギリギリかもだから、一応検査入院。」
「そっか。」
と小さく呟く。
「でも、月くん相変わらずクールだけど、気管切開閉じてからだいぶ明るくなったよね。」
「あー、やっぱそうかな。」
ガラッ
「月！取り込み中？」
「あ、ごめんなさい、日向くん。全然大丈夫。私、もう行くね。」
「あ、うん。」
「またね、たかなちゃん。」
日向は、私の真ん前に座ると、じっとこちらを見た。
「退院できそうなんだー。」
「まじで！？」
「うん、最近数値が安定してるから、一時退院じゃなくて、ちゃんと退院できるって。」
「よかったじゃん！今まで全然退院できなかったもんな。」
「うん、学校行って、ちゃんと勉強して。バスケも…。」
そこで、声が詰まった。
「うん、まぁ、考えるよ。」
と呟く。
兄たちには、バスケをやることは反対されている。
でも、父はやりたいことをやりなさいと。
はぁ、とため息が溢れる。
「親父さん、やっていいって言ってんだし好きにすればいいじゃん。」
と、日向は笑った。
「そう…、だよね。」
「俺、私立海台中から推薦が来てて、行くか迷ってんだよね、お前も2年後来ないか？」
海台は、普通入試で入ればトップレベルの難関校。
そして、完全中高一貫校だ。
「受験、か。」
「でも、行きたい、行きたいな。勉強するよ。」
「そうか！やったぁ。これで、心置きなく推薦が受けれる。ふっ、ふふっ、じゃあな。」
それから、2年間入退院を繰り返しつつ、受験勉強に励み…、合格した。首席だった。