さよならの香り (ページ12)

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似てる(mingyu) ページ12

帰りの電車の中で今日のAちゃんとの会話を思い出す

『…私、私ならどうするんだろう』

酷く傷ついた顔をしてた
別に傷つけたくて聞いたわけじゃない

女の子ってよく彼氏の話を自分から嬉しそうにしてくるけどAちゃんは彼氏がいるのに全然してこない

むしろそういう話題があがると眉をピクッとあげて少しした後いつも辛そうな顔をするんだ

その顔を見るたび心臓がチクリと痛む

普段は底抜けに明るくて元気な癖に彼氏の話題になるとそんな顔をするAちゃんを最初は心配していたんだと思う

なんとなく昔の俺と重なった

学生の頃好きだった女の子に告白できなくて
気付いたら親友になっていた

ミンギュは親友だもんねって言って事あるごとに彼氏の相談を持ちかけてきたり
別れたって大きな瞳からぽろぽろと涙を流しては
ミンギュと付き合えば上手く行くのにねって言ってきたり

そういう意味で言ったわけでは無いって何度も自分に言い聞かせて
本当は抱き寄せたい気持ちを押し潰し
冗談まじりに慰めの言葉をかけることしかできない
当時の俺は必死に彼女への恋心を必死に閉じ込め
彼女の望む親友であろうとしてた

付き合って別れがきてしまう不安な未来よりも
俺が我慢して親友としていればずっと関係は続くのだ

社会人になってお互い忙しくて学生の頃より連絡の頻度は少なくなった

それもあり俺は徐々に気持ちが薄れてきて
今は本当の親友として接することができていると思う

だからAちゃんのそんな姿を見ると居た堪れなくて放って置けなくなる

気になって目でAちゃんを追っていて
俺がふざけたときに見せるあの笑顔を見るたびに嬉しくなって

あれ…？

俺に似てるから気になるだけ？

…違う
正直どうにかしてあげたいって思ってしまった自分がいる

そう思った途端急にAちゃんへの気持ちを心配しているから、で片付けられないことに気づく

まずいな…俺また同じこと繰り返そうとしてる？