さよならの香り

ついてない日 ページ9

仕事帰りいつものように、また窮屈な電車に揺られながら帰ることを考えて憂鬱な気分になる

お気に入りの曲でも聴こ………あれ？
あ、そっか…今日珍しくちょっと寝坊しちゃってイヤホン忘れてたんだ…
ガクッと項垂れていると電車が来た

座れる席がないかキョロキョロしたけど見事に埋まってる

ケータイがブブッて震えたので確認するとジフナから「今日飯いらない」とだけ書かれたカトクの通知

今日も一緒にご飯食べられないじゃん

なーんかついてないなぁって思いながら電車の電子広告を眺める

あ、ここもう出来たんだ…
ゆったりくつろげる新感覚空間ってデカデカと書かれた新しいカフェの広告

ジフナ好きそうだな…帰ってきたら次の休みここ行きたいって提案しようかな、なんて考えてると最寄駅についた

今日も1人ご飯だし、作る気力もないから適当にコンビニで済ませちゃお

またブブッて通知

「スニョンと一緒に飲むんだけどAちゃんもどー？誕生日会のことも話したいし」

あー…なんだミンギュくんね…
ちょっとジフナかと思って期待しちゃった

「残念ながらもう最寄りついちゃった」

と送った後また今度って打ち込もうとしたら

「じゃあそっち行くよ！今会社の駅だから10分くらいで着くし待ってて！」

有無を言わさない感じで犬のスタンプも一緒に送られてくる
強引というか…勢いがあるというか…

ていうかこのスタンプミンギュくんにそっくりだなってニヤニヤしてたら
コンビニの店員さんに変な目で見られたのでドリンクの棚にあったコーヒーを買ってそそくさと外に出る

適当なベンチに腰掛けて2人を待つことにした

「…苦」

思わずパッケージを見たらエスプレッソの文字
私ミルク入ってないと飲めないのに…
やっぱり今日はついてない


はぁーと何回目か分からないため息をついた時
改札からすらっとしたスタイルのいい男の人と目を細めてニコニコ笑う男の人

あーあれだ…目立つなあ
重い腰を上げて声をかけようと2人に近づく

そこにすかさず、あの〜すみません帰りですか？なんて猫撫で声で話しかける女の子たち

…いつも一緒にいるから忘れてたけど2人ってよく見たら整ってるよなぁ
すごいモテるじゃんって他人事のように見てたらミンギュくんと目が合ってしまった

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