続き ページ14
朝ご飯を食べ終わって、いつの間にか寝ていた。
きっとあの温い味噌汁の中にでも睡眠薬が入っていたんだろう。
こういう生活してるから薬を盛られるのは大丈夫とかはない。普通に嫌すぎる。
だから、睡眠薬は体に良くない。私のほうが先に早死してしまう。と言って辞めてもらおうとしたこともあった気がする。
けど彼は、
俺がAを殺すから変わらない
とか言った。恐ろしいことだ。
まだ眠い目をこすり、起き上がろうとした時歌が聞こえてきた。
息を潜めてちらりと声の方見ればぐちつぼが頬杖をついて、窓の外を眺めながらも歌を口ずさんでいる。横には小さな若々しい仙人掌が置いてある。
驚くべきところは初めて窓から光が差し込んでいる。シャッターが開いているのだ。
「ん、起きたか」
『…何で、窓開いてんの、』
ずっと見れなかった光が急に見えることに動揺が隠せない。何故?単なる気分?
「雨が止んで虹が出てたんだよ。だから」
指差す方は光で眩しい。だけど青い空に薄く、けれど色彩鮮やかな虹がかかっている。
「一生そばにいるから一生そばにいて、」
「一生離れないように一生懸命に、」
「キツく結んだ目がほどけないように繋いだ手を離さないから、」
「めちゃくちゃいい歌詞だよな。虹が出てるからこの曲思い出して窓開けた。俺好きなんだよ」
そう言いながらゆっくりと近づいてきて、ポケットから何かを出した。
なぜこのタイミングなのかは分からないが取り出したのは指輪。
『え、…い"っ、』
枷はついていて逃げられもしないのに腕を強く掴まれた。
それとは真反対に割れ物を扱うかのように優しい手付きで薬指に指輪がはまった。
彼の目と同じ赤色のガーネット。
「A、これで一生一緒だな」
彼は笑った。
私も、笑うことしかできなかった。
一生一緒。これはあながち間違いではない。
読んでくれてありがとう。
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宗介(プロフ) - すいみん。さん» 自分で書いてて解釈不一致だったり遠回しな物言いだったりしていますがそう言っていただけて感謝でしか無いです。時間は空くし彼らへの記憶もどんどん抜けてっていますが更新し続けますのでお気楽に見てってくだされば嬉しいです (3月3日 17時) (レス) id: 9374b91c4e (このIDを非表示/違反報告)
すいみん。(プロフ) - 𝐼 𝑙𝑜𝑣𝑒 𝑦𝑜𝑢…大好きすぎます…小説の雰囲気がどストライクです…。無理なさらず更新頑張ってください🙇♀️💕 (3月3日 1時) (レス) @page22 id: f12e90341c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:宗介 | 作成日時:2022年10月15日 18時