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十七、初めて ページ17

一応の処置が終わり、医者は安静に寝ておくようにと言い残して病室を出た。


取り残された無機質な白い部屋で、俺はただ言葉をかけることができなかった。


医者は、告げた。


.



.



.



.



.



「Aちゃん!?この傷、一体どこで...」


『えっ...?あ...血が...』


「っ!!...もしかしてAちゃん...痛み、感じてないの?」


その場にいた全員が、その意味を理解した。


間違いなく、病状が悪化している、と。


着々と、《五感・臓器機能低下症》はAの体を蝕んでいるのだと、俺は気付いた。


そして、医者によると


本当は、既に嗅覚と味覚は機能麻痺していたらしい。


当の本人が何も言わなかったため、医者も発見に遅れたようだ。


どうやら、傷は医療器具につまずいて出来たものらしい。


Aのものであろう血が着いていた。


.


.



.




「...なんで、医者に言わなかった?」


俺は少し眉をひそめて聞いた。


『...別に、意味はないわ?』


その言葉に、俺の感情達が背反するよに溢れ出してくる。


「命に関わるんだよ!!嗅覚と味覚がやられた時点で医者に言ってたら、こんな怪我せずに済んだかもしれねェ...

もしもっと重体になるような怪我だったらど-すんだ!?

場所によっては死んでたかもしれねェんだぞ!?

ふざけんなよ...っ!!」


ここが病院であるということも忘れて、俺は声を荒らげてしまった。


それほどまでに、本当に心臓が止まるかってくらい心配した。


焦った。不安だった。怖かった。


一気に負の感情が俺を襲った。


『...銀時さん、ごめんなさい』


「えっ...」


俺はAの小さな小さな腕に包まれていた。


『泣いてるわよ...ばか』


気が付くと、俺は安心からなのか涙を流していた。


「わりぃ...っ」


カッコわりぃ...。


わかっていても、涙は止まるどころかどんどん溢れていく。


『...凄く、嬉しかった』


「えっ...?」


Aは俺を抱きしめたまま、言葉を紡ぐ。


『私、こんな風に人に心配してもらったことないの。あんなに怒られたのも初めて。

でもそれは、私がずっと欲しかったもの。

ありがとう、銀時さん』


そう言うと、Aは俺に回していた手を離し、頬にキスをした。


「ばっ...」


俺の顔はみるみる間に熱くなっていく。


『別に意味なんてないんだからね!!』


そう言って顔を逸らしたAの耳も、微かに赤みを帯びていた。

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うにゃっと - じわじわと悲しくなるような小説ですね…、続きとっても気になります!更新頑張ってください! (2015年9月22日 4時) (レス) id: 7a7fc6dd0e (このIDを非表示/違反報告)
いぶ(プロフ) - 続き気になります!更新がんばって~!! (2014年6月29日 14時) (レス) id: e43983a375 (このIDを非表示/違反報告)
灯羽永 - 面白かったです!続き気になります!!!!更新頑張って下さい!!!! (2014年3月8日 10時) (レス) id: 934b1f4a2b (このIDを非表示/違反報告)
蓮華(プロフ) - めっちゃ面白かったです!!更新頑張って下さい!! (2014年1月6日 23時) (レス) id: eb9015cbbe (このIDを非表示/違反報告)
モヘア - つっ...続きが気になります...!!!どうぞ、更新頑張ってください...! (2013年11月28日 19時) (レス) id: fd6856bf8b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:三日月リイア | 作者ホームページ:書き込み不可ですっ[壁]。。;)  
作成日時:2013年7月17日 21時

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