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十六、疑問 ページ16

俺が入院して、そろそろ1ヶ月が経とうとしていた。


季節は梅雨を迎える準備をしていた。


俺はAに病室を教えてもらい、毎日のように通った。


一般病棟とは内装から構造まで違っていた。


薬品の混ざっているような、鼻をつく臭いが俺は凄く嫌いだった。


まぁ、それはいいとして。


なるべく動かない方がいい。


看護師が言う意味が、俺にもようやくわかるようになった。


それもあって、俺がAの病室を訪れるようになったのだ。


毎日、毎日。


沢山のことを話した。


それを楽しそうに聞くA。


そんな彼女を見るのが、凄く好きだった。


キラキラした瞳が、ふわっと笑う笑顔が、癒されるような声が


"俺は、好きだった。"


今日もまた、繰り返す。


もしかしたら《五感・臓器機能低下症》なんて治ってるのかもしれない。


そう思わざる負えないほどに、Aは元気なのだ。


一生背負う病気なのかもしれないけど、一生害を及ぼすような病気じゃねェのかもしれない。


そんな淡い期待を、無惨にも砕く日が、こんなにも早く訪れるなんて思ってもみなかった。


「A-来たぜ-」


ガラッと病室の扉を開く。


いつもなら、Aの笑顔が俺を出迎えた。


いや、今日だってそうだ。


Aの笑顔が、俺を出迎えた事に違いない。


「っ!?A、おまっ、それ...ちょ、ま、待ってろ!すぐに看護師呼んでくっからよ!!動くなよ!?」


俺は慌てて部屋を飛び出し、ナ-スステ-ションに駆け込んだ。


「オイ!Aのっ...はぁ、はぁ....布団に、"血"...」


Aは少し体を起こした状態でベッドに凭れかかっていた。


そして、問題なのは彼女のかけていた布団。


そこに大量...とまでは言わずとも、結構な量の血が染み込んでいた。


もう、出血したのは少し前なのかもしれない。


空気に触れた血は、くすんで黒ずんでいた。


俺はAの病室へと駆ける看護師を追いかけながら、ふと思った。


(なんで...Aはナ-スコ-ルを押さなかった?)


あれだけの出血なら、痛みを感じないわけが無いだろう。


それが、始まりだ。


「A!!」


バンっとドアを開くと、看護師は急いでAの布団をめくる。


「なっ...」


Aのふくらはぎ辺りに直線的に出来た痕。


そこからは、まだ少量ではあるものの出血が続いていた。

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うにゃっと - じわじわと悲しくなるような小説ですね…、続きとっても気になります!更新頑張ってください! (2015年9月22日 4時) (レス) id: 7a7fc6dd0e (このIDを非表示/違反報告)
いぶ(プロフ) - 続き気になります!更新がんばって~!! (2014年6月29日 14時) (レス) id: e43983a375 (このIDを非表示/違反報告)
灯羽永 - 面白かったです!続き気になります!!!!更新頑張って下さい!!!! (2014年3月8日 10時) (レス) id: 934b1f4a2b (このIDを非表示/違反報告)
蓮華(プロフ) - めっちゃ面白かったです!!更新頑張って下さい!! (2014年1月6日 23時) (レス) id: eb9015cbbe (このIDを非表示/違反報告)
モヘア - つっ...続きが気になります...!!!どうぞ、更新頑張ってください...! (2013年11月28日 19時) (レス) id: fd6856bf8b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:三日月リイア | 作者ホームページ:書き込み不可ですっ[壁]。。;)  
作成日時:2013年7月17日 21時

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