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十一、意気地無し ページ11

俺は大して興味のあるわけでもないが、仕事なので聞かないわけにもいかなかった。


俺はただ、黙って沖田の次の言葉を待った。


そして、ゆっくり口を開く。


「この病院には、《不治の病》を専門とするフロアがあるんですが、そこがどうにも臭ェって話なんでさァ」


「あぁ、そこか。んで、そこがどうしたんだ?」


どこか勿体つけたあとに、ニヤと笑って口を開いた。


「大貴族の一人娘がそこにいるらしいんでさァ。だから、ここの医院長が多額の賄賂を受け取ってんじゃねェかって」


「なるほどな」と俺は右手を顎に当てた。


「つまり、その令嬢を探し出せっつーわけか?」


「さすが旦那、理解が早くて助かりやす」


そう言うとおもむろに立ち上がり、沖田はドアに手をかけた。


"俺も忙しいんで"といった顔で「また来る」とだけ言って帰った。


「あっ、名前...」


貴族の令嬢の名前、聞くの忘れてた...。


俺は仕方ない、とベッドに潜り込んだ。


ただ、気になって仕方なかった。


《不治の病》のフロア。


そこには一体、どんな病気の人がいるんだろうか。


不治の病とは、一体なんなのだろうか。


最悪の結果だけは、避けたい。


「坂田さーん、回診のお時間ですよー」


空が赤く染まり始めた頃、いつもとは違う若めの看護師が回診に来た。


くりっとした大きな瞳と、亜麻色のボブカットの看護師。


モテるだろーなぁ...。


(つーか、Aには負けるな)


っ...。無意識に何考えてんだ...!!


俺は邪心を振り払い、看護師に向きなおす。


それからいくつかの質疑応答が行われて、回診はすぐに終わった。


「あんさ、一個聞いていい?」


一瞬怪訝な表情をした看護師だが、すぐに笑って「なんですか?」と問いかけた。


「《不治の病》のフロアってさ...どんな病気なわけ?」


「っ....」ハッと目を見開く看護師。


あぁ、やっぱり。ここには"何かある"。


「...失礼します」


少し震えた声で俺の部屋を足早に飛び出していった。


ここには、一体何があるんだ。


Aに聞く...っつーのもなぁ...。


ったく...どんだけ意気地ねェんだっての。


ただ、もし...。


そんな考えが頭をめぐる。


俺は布団を深くかぶった。


今日は晩飯いらねェや。


夢の中へと逃げ込むことにした。

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うにゃっと - じわじわと悲しくなるような小説ですね…、続きとっても気になります!更新頑張ってください! (2015年9月22日 4時) (レス) id: 7a7fc6dd0e (このIDを非表示/違反報告)
いぶ(プロフ) - 続き気になります!更新がんばって~!! (2014年6月29日 14時) (レス) id: e43983a375 (このIDを非表示/違反報告)
灯羽永 - 面白かったです!続き気になります!!!!更新頑張って下さい!!!! (2014年3月8日 10時) (レス) id: 934b1f4a2b (このIDを非表示/違反報告)
蓮華(プロフ) - めっちゃ面白かったです!!更新頑張って下さい!! (2014年1月6日 23時) (レス) id: eb9015cbbe (このIDを非表示/違反報告)
モヘア - つっ...続きが気になります...!!!どうぞ、更新頑張ってください...! (2013年11月28日 19時) (レス) id: fd6856bf8b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:三日月リイア | 作者ホームページ:書き込み不可ですっ[壁]。。;)  
作成日時:2013年7月17日 21時

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