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k-chan side
連れていかれた先は撮影部屋。
山本さんは部屋につくなり俺をソファに投げ込んだ。
呆然としている俺をよそに、山本さんは近くにあった椅子を持ってきてソファの横に置き、それから壁にかけてあった自分の上着をとって乱雑に俺に投げる。
「寝るまで見張ってるから」
そういうと、椅子に座り俺のパソコンを開いた。いつの間に持ってきたんだろう?
「,,,なんで、俺にこんなことしてくれるんですか」
「僕は、こうちゃんの恋人だから」
一瞥もせずにそんなことを言う。
ますます呑み込めなくて黙っていると、山本さんはふと手を止めてこちらを見た。
「こうちゃんはさ、なんで1人で頑張るの?」
「,,,人に、迷惑かけたくないから,,,」
「ほら、またいった」
山本さんはパソコンを閉じると、俺に向き直った。上から見下ろされる感覚が新鮮で、ちょっとくすぐったい。
「僕は、頑張るこうちゃんが好き。仕事のペースがゆっくりなのは、こうちゃんが人より真剣に、完璧に、こだわって取り組んでる印だよ」
まっすぐな瞳が、俺を射抜く。
「だけど、大変なんだったら他の人を頼ってもいいんだよ。それが仲間だから」
「,,,仲間」
「うん。だから、あんまり1人で抱え込まないで。皆心配してるんだよ?」
「みんな,,,?」
「そ。あんまり根を詰めてもミス増えるでしょ?休むのだって大事。実際、まだ今ある仕事全部終わってる人いないみたいだしさ」
見透かされてるのか?
「こうちゃんの性格からすると人に言い出しにくいのは想像できるからいうの迷ってたんだけどさ,,,
もし他のメンバーにいえなくても、僕のことは頼ってほしい。一番こうちゃんを支えたいのは、間違いなく僕だからね」
はきはきと喋る俺の恋人。きっと今日まで連日の収録で疲れてるはずなのに、こんなに俺のこと考えてくれてたのか。
ありがとう。ごめんなさい,,,
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作者名:颯楓 | 作成日時:2020年5月8日 21時