104話 ページ8
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小野寺「あー聞いてましたよ。」
彼は背を向けながらデスクに置いてあった1冊の本を読み続け応える。
そんな小野寺の様子に苦笑いするAだったが、彼の読んでいた本を見て一瞬表情を変える。
小野寺「...あのーこれちょっと借りていいですか?」
すると鏑木は「私のじゃない!!」と声を荒らげた。
甘春「...どうぞ。」
どうやらその本は甘春の物だったらしく、2つ返事で頷いた。
小野寺「...どうも...!じゃ、失礼します。」
小野寺は軽く微笑んだ後、読影室を去って行った。
Donald E.Pillesーーー題名には教授の名が書かれた本を持って。
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A「.....」
ふと、Aは先程小野寺がピレス教授の本を借りて行ったことを思い出し首を傾げる。
...何で小野寺さんは教授の本を...?
A「...考えすぎかな。」
Aはそう言って売店へ足を進める。
よく考えてみれば教授は放射線科の最前線を行く人物だ。
技師の歴が長い小野寺さんが彼へ興味を抱いたとしても不思議ではないだろう。
そんなことを考えながら歩いていると、軒下が男性と話しているのを見かける。
A「...あれ、軒下さん?...とそちらは...」
軒下「...え!!!...あ、安藤先生...」
酷く驚いた様子でAを見上げる軒下。
何故か白衣を身に付け、首には聴診器をかけている。
蛭田「あ...軒下くんの中学の頃の同級生で蛭田と申します...」
...!...蛭田...
ふとAは先程の右胸にしこりがあった画像の人物の苗字と同じであったことを思い出す。
A「そうだったんですね...!私は放射線科医の安藤と申します。」
蛭田「...じゃあ軒下くんと同じ科の先生なんですね...
!」
A「...?...はい、軒下さんも同じ放射線科の.....」
技師ですよ、と伝えようとするが慌てる軒下を見てハッとする。
白衣に聴診器...そういうことか、と若干苦笑いしてAは続ける。
A「...同じ放射線科医で、いつも軒下先生にはお世話になっています...!」
それだけ伝えて軽く軒下へ微笑む。
すると彼は蛭田へ気付かれないよう手を合わせ、会釈してきた。
A「...では、私はこれで失礼しますね。」
あまりここにいて欲しくなさそうな軒下の雰囲気を感じとったAは、軽く一礼した後売店へと向かった。
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奏奏奏(プロフ) - きぇぇぇぇ!!さん» ありがとうございます!これからも頑張っていきます! (2019年7月30日 18時) (レス) id: 681665cbc9 (このIDを非表示/違反報告)
奏奏奏(プロフ) - レナさん» ありがとうございます!励みになります´`* (2019年7月30日 18時) (レス) id: 681665cbc9 (このIDを非表示/違反報告)
きぇぇぇぇ!! - ラジエーションハウスは大好きな作品(?)なので頑張ってください!(?) (2019年7月30日 17時) (レス) id: 5d428d39a9 (このIDを非表示/違反報告)
レナ - 待ってました。これからも頑張ってください。 (2019年7月16日 22時) (レス) id: 869c734d75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:奏奏奏 | 作成日時:2019年7月16日 19時