101話 ページ5
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手術を無事に終え、僕はデスクでタブレット端末を触っていると隣から話し声が聞こえてくる。
軒下「無事に終わって良かったなァ。」
たまき「良かったねぇ?」
威能「良かったんですかねぇ?」
悠木「大事なこと忘れてません?」
小野寺「...なんだよ。」
すると広瀬さんが「あ!」と思い出したかのように声を上げたタイミングでラジエーションハウスの扉が開いた音が響いた。
鏑木「...さあッ私が来たからにはもう大丈夫だ!.....あれっ...」
息を切らしながら入ってきたのは鏑木先生だった。
僕は若干の苦笑いを浮かべつつ、タブレット端末で読影を進める。
...ピレス教授からの依頼は一度送信しておこう。
メッセージに所見と再検査を推奨する文章を添付して送信ボタンを押すと、僕はふとデスクの片隅に置いてあるあの医療小説が目に入った。
僕はハッとして、それを手に持ち立ち上がった。
そして軒下さんからIVRは既に終わったと説明を受け、怒りながら去っていった鏑木先生の後を追いかける。
右腕に抱えていたタブレット端末を中心の机に置いて。
五十嵐「...あの!...ありがとうございました。篠原さんの出血の原因に気付けたのは鏑木先生が下さったこの本のおかげです。
それと、この"金閣寺の松"...これは外科医6人を影で支える放射線科医のことを実は意味しているんですよね!」
鏑木「...!...作中から読み取ってくれたのかね?」
五十嵐「...外科医ばかりが注目を浴びる中で、その彼らに引けを取らないくらい素晴らしい仕事をしている放射線科の人々がいる!
取材協力をした鏑木先生の思いが伝わって、とっても感慨深い内容でした!」
僕はそう言って微笑んだ後、「失礼します」と言ってラジエーションハウスへと足を進めた。
しかし、この時僕や伊東さんはまだ知らなかった。
僕達2人が被っている偽りの仮面が綻び始めていることを。
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五十嵐を除いた技師のメンバーはそれぞれにお疲れ、と言いつつロッカールームへと向かう。
そんな中でのんびりと立ち上がった小野寺は、丁度鳴り響いた五十嵐のタブレット端末の通知音に気が付いた。
小野寺「...ん...?」
明るくなった画面に映し出されたのは、連なった英文と読影画像、そしてとある宛先だった。
"From ピレス〈Donald E.Pilles〉"と。
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Twitterに#7の予告を投稿致しました。
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奏奏奏(プロフ) - きぇぇぇぇ!!さん» ありがとうございます!これからも頑張っていきます! (2019年7月30日 18時) (レス) id: 681665cbc9 (このIDを非表示/違反報告)
奏奏奏(プロフ) - レナさん» ありがとうございます!励みになります´`* (2019年7月30日 18時) (レス) id: 681665cbc9 (このIDを非表示/違反報告)
きぇぇぇぇ!! - ラジエーションハウスは大好きな作品(?)なので頑張ってください!(?) (2019年7月30日 17時) (レス) id: 5d428d39a9 (このIDを非表示/違反報告)
レナ - 待ってました。これからも頑張ってください。 (2019年7月16日 22時) (レス) id: 869c734d75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:奏奏奏 | 作成日時:2019年7月16日 19時