86勝 ページ46
10歳離れた弟である聖臣とは、髪のうねり方や端正な顔立ちといい、容姿はとてもよく似ている。だが、聖臣と晴臣を間違える人間は万に一人もいやしないだろう。
それもそのはず。聖臣はマスクをしていても不機嫌さが滲み出ているような仏頂面が基本なのだが、晴臣はいつだってニコニコと
もちろん表情だけでなく、性格も決して同じでは無い。仏頂面とニコニコ笑顔で分かる通り、正反対と言っていいほど真逆だ。
医大をストレートで卒業し、最近医療免許を取ったばかりの新人のお医者さんとなった晴臣は仕事柄忙しく、
同じ東京都内に住んでいるとはいえ、晴臣は仕事、ルナや聖臣、元也は部活とお互い忙しい。
『いつ帰ってきてたの？』
「今日の朝だよ。
はい、と渡されたケーキ屋の箱を受け取れば、いいタイミングでルナの母であるアンナがティーセットを持って部屋に入ってきて、慣れたようにティーポットにお湯を注いで紅茶を淹れる。
「本当に驚いたのよ？連絡もなく急に休みだからって帰ってくるんだから...」
「アンナちゃんごめんね〜せっかくだから驚かせたくってさ」
『それで、ハル君が帰ってきてることオミは知ってるの？』
「んーん、知らないよ。聖も驚かそうと思って」
いい笑顔で言う晴臣に、ルナは『ハル君ってこういうところあるのよね…』と思う。この男、頭はいい癖に変なところで馬鹿というか天然のようなことをしでかすのだ。それで怒られるのは晴臣自身だというのに。
なにより可哀そうなのは、幼いころから晴臣の無自覚な天然に巻き込まれてきた聖臣だろう。だからいまの彼はあんなにも警戒心の強い猫みたいになっているのだが。
⿴⿻⿸
夢主に『ハル君』って呼ばせたかっただけで臣くんのお兄さん出しました。完全捏造。
クールな無表情女子が幼馴染のお兄さんを『〜君』って呼んでるのってなんか萌えません？私だけ？
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作者名：蒼月 | 作成日時：2021年6月9日 6時
