67勝 ページ26
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灰崎の退部が確定した日、ルナは体育館2階から監督の白金耕造と共に練習を見ていた。
明日からは全中の予選まで2ヶ月を切ったということで白金が練習を指揮をとる。それを踏まえていっしょに見ようと誘われたのだ。
「五十嵐は"キセキの世代"と呼ばれる彼らをどう思う?」
『...たとえ"キセキの世代"と呼ばれる天才であろうと、後輩に違いはありません。
逆に言えば、私にとって彼らとその他の部員はそう大差ないんです。
誰が、なんと言おうとも...』
白金の方を見ないまま言ったルナの答えは、白金の望んでいたものとは違った。それでもルナは気にすることなく練習を眺めている。
どれだけ監督やコーチが彼らを贔屓にしようと、ルナだけはただの一般部員として接する。
ルナにとって
灰崎を追い出した赤司も、
バスケを愛してバスケに愛された青峰も、
ただひたすら人事を尽くし続ける緑間も、
あまりやる気はないけど負けず嫌いの紫原も、
退部した灰崎も、
ようやくリョウと呼ぶようになった黄瀬だって、
皆同じ支える対象なのだ。
そこにはバスケが上手い下手も、好き嫌いも、才能のあるなしも何ひとつとして関係ない。
天賦の才が花開こうとするのであればそれを手助けし、たとえ開かなくてもそのままで戦える強さを見出す。この部にいるならば皆平等なのだ。
☆
「集合ー!!」
虹村の号令に2人で下に降りる。
真田コーチが明日からは白金が練習の指揮をとる事を言えば、黒子が疑問符を浮かべる。黒子は去年の全中はまだ三軍だったため、白金には会っていないのだ。
選手の前に立った白金は、ニッコニコ笑顔で 今まではぬるかった、ここからは相当ハードになるが若いうちは何をやっても死なん と宣う。
今までの練習メニューがお子様ランチに思える程鬼のように厳しいメニューを立てるのはルナと白金だ。
そして告げられる虹村と赤司の主将交代。
赤司は日本有数の名家の生まれ。その跡を継ぐべく、ありとあらゆる英才教育を厳しく受けている。
1年で虹村が副主将に推薦し、それをルナや監督が認めるほど、チームをまとめる力はあるはずなのだ。
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作者名:蒼月 | 作成日時:2021年6月9日 6時