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月日は経ち、8月10日。
10時になるのを待ち望んでいるカトレアは、自分に落ち着くよう何度も言い聞かせていた。
『(落ち着きなさい、カトレア・エバンズ。私は西園寺の人間だったでしょう。この程度でソワソワしてどうするの)』
逸る鼓動を落ち着かせるため、そっと目を閉じる。
カチッ
時計の長い針が頂点を指した時、ドアベルが鳴る。
その音に目を開けたカトレアは、スっと立ち上がるとホグワーツの教員がいるであろう玄関先へと向かう。
出迎えていた両親の間から見えた顔は、前世の記憶があるカトレアからしてみればとても馴染みのある人だった。
「Ms.エバンズですね。ホグワーツの教員、ミネルバ・マクゴナガルです。今から貴方を案内するのでついていらっしゃい」
そう、我らが副校長のマクゴナガル教授だ。
『カトレア・エバンズと申します。以後お見知り置きを、Ms.マクゴナガル』
こんなにも早く家族以外のキャラと会うことができてとても嬉しいが、そんなことはおくびにも出さず、カトレアはいつものように微笑んだ。
家族に暫しの別れを告げ、カトレアはマクゴナガルと共に家を出る。
「今からう付き添い姿現しを致します。バラけないよう、しっかりと掴まっていなさい。」
スっと出されたマクゴナガルの手に、カトレアは感動で震えてしまった手をそっと乗せた。
「では行きますよ」
マクゴナガルの声が耳に入った途端、周りの景色がぐにゃりと歪み、身体が浮くような浮遊感がカトレアを襲った。
☆
「大丈夫ですか?」
激しい浮遊感から解放され、足がしっかりとした地面に付いた途端、予想以上の目眩によってカトレアはよろけた。
マクゴナガルの声に何とか返事をし、カトレアはスっと姿勢を正した。
これ以上の失態は元西園寺の人間として自分が許せなかった。
『お見苦しいところをお見せして申し訳ありません...』
その姿にマクゴナガルは瞠目した。
第一印象は、美しく10歳にしては大人っぽいだった。
ストレートのブロンドに深緑の瞳の、まるでヴィーラの血が混じっているのではないのかと思うほど整った容姿。
2人の妹たちに優しく世話をやき、とても懐かれている姿は、まさに姉の鏡と言っていいだろう。
見目がいい人はいくらでもいる。魔法省でも、ホグワーツでも様々な人を見てきた。
だが、ここまで初対面で好印象を持ったのは初めてだった。
会った時の挨拶はもちろん、姿現し直後を除けば、このカトレア・エバンズには隙というものがない。
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雅 - とても面白いですっ!!物語が丁寧だし読みやすい…更新頑張ってください!! (2月6日 22時) (レス) @page8 id: cc7c78e963 (このIDを非表示/違反報告)
スイ(プロフ) - ものすごく面白いです!!更新頑張ってください! (2021年11月29日 19時) (レス) @page45 id: a84d0456a3 (このIDを非表示/違反報告)
宵桜の館(プロフ) - 蒼月さん» はい!私のイメージだとそうです!! (2021年9月27日 10時) (レス) id: b0c551b146 (このIDを非表示/違反報告)
蒼月(プロフ) - 宵桜の館さん» なるほど!! 例えば、夢主の近くにいる不死鳥をフォークスのような紅だとしたら、夢主のアニメーガスはONEPIECEのマルコのような蒼_とかで合ってますか? (2021年9月26日 12時) (レス) id: 1cda098b14 (このIDを非表示/違反報告)
宵桜の館(プロフ) - 初めまして、楽しく読ませてもらっています!不死鳥は、色を変えてみては如何でしょうか?あくまで個人の意見ですし、蒼月さんの考えに添えているか分かりませんが... (2021年9月26日 12時) (レス) @page43 id: b0c551b146 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蒼月 | 作成日時:2021年5月20日 21時