64.本心 ページ46
■
「A」
『……はじめくん』
ここ最近は、塞ぎ込んでいるのは誰が見ても明らかだったと思う。
家に入って来たはじめくんの存在にも気が付かなかった。
「大丈夫か？具合悪い？」
『ううん、大丈夫』
「…ならいいけど」
「勝手に来てごめんな」と謝られて、確かにはじめくんが連絡なしで来るのは珍しかった。
『大丈夫です』
さきほどからこの一言しか言えていない。
でも、今は何も考えたくなかった。
「…おい、こっち見ろ」
さっきとは打って変わって真剣な声色で言われてはじめくんもソファーに座り、顔を覗かれる。
はじめくんの心配するような優しい顔を見て、もう何も考えられなくなった。
『…私ね、蘭ちゃんが好き』
後先考えず言った。
「ああ、いまさらだろ」
少し間を開けて、はじめくんはただそれだけ相槌を打った。
「知ってる」
『…はい』
「でもお前、マイキーから離れられないじゃん」
はじめくんは、意外と容赦がない。
その一言は今の私にかなりダメージが大きかった。
『はい、その通りです』
説明なんて、もういらない。
だって言葉の通りだから。
でも、それでも。
『もう苦しい』
「……そうだな」
ひたすらに一点を見つめる私を、自分の肩に優しく寄せてくれた。
『ボスといるのは、私にとって義務なのかもしれません』
「…」
『ボスはとても、とても弱い人です。誰かが救ってあげないと…それが自分だと思ってた。でも私は、彼を同情としてしか接することができない。でも蘭ちゃんは、愛なんです。何にも変え難い、愛なんです…欲とは程遠い、そばにいたい。私の意思で。確かに、愛なんです…っ』
助けて。もう苦しいよ。
答えがわからない。正解がわからない。
誰のせいにもせず、誰に迷惑をかけるでもなく、みんなが幸せになる方法はきっとどこにもない。
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水原カノ(プロフ) - エリザベス女王さん» コメントありがとうございます☺️随分遅くなってしまい本当に申し訳ないです…しっかり再開する予定ではありますのでお待ちいただけると幸いです！ (2022年11月13日 16時) (
レス) id: dc8eb8059d (このIDを非表示/違反報告)
エリザベス女王 - 蘭ちゃんが尊い､､､‼️更新頑張ってください！あと続編おめでとうございます！楽しみに待ってます❤ (2022年7月11日 6時) (レス) @page26 id: f466090db3 (このIDを非表示/違反報告)
水原カノ(プロフ) - 華さん» いつもコメントありがとうございます！頑張ります〜(*´-`) (2022年5月9日 13時) (レス) id: dc8eb8059d (このIDを非表示/違反報告)
華 - こちらの作品も続編、おめでとうございます！これからも頑張ってください！ (2022年4月20日 23時) (レス) @page4 id: a19f9ab121 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水原カノ
| 作成日時：2022年4月20日 17時
