62.拉致 ページ42
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「ハハッ、梵天の幹部がご執心してるってのはオマエか」
『どちらかというと私の方がご執心してますね』
拉致られました。
いつも通り退勤して、駅に向かう途中から記憶がない。
気がつけば廃墟ビルにいて、両腕を後ろに縛られながら木製の椅子に座っていた。
そして、目の前には少し肥満気味の30代後半くらいの男性1人。
『(…私の人生もここまでかな)』
そうあっさり諭る。
犯 されるか、殺されるか、どっちだろう。
「少々梵天と一悶着あってなァ？今はなんとか逃げ切ってるけどよぉ…このままだったら殺されるしな、それもそれで俺の気が済まねぇわけ」
『(…よく喋るなこの人)』
「ハハッ、どんな風に痛ぶってやうかぁ？」
私の顎を引っ掴み、汚い顔を近づけてそう言った。
ここ2年、それはそれは顔の良い人たちに囲まれて暮らしてきたからか、目の前にいるソイツがもう見ていられない。
『(ほんと、なんで私の人生こんななんでしょう)』
思わず、自嘲気味に笑う。
結局、自分の両親と大差ない死に方。
それでも、これは私が選んだ道。私の運命。
覚悟は決まってる。
何も、恐れることはない。
「…チッ。つまんねぇ女だな」
私は頬の一つも、体も微動だにしない。
「ま、脱がすけどなァ」
これは蘭ちゃんの手。
これは蘭ちゃんの温もり。
これは蘭ちゃんの体。
これは、これは_____
『(…蘭ちゃんなわけがない)』
どう足掻いても無理だった。
私を覆いかぶさる体。服にかけられる冷たい手。
『(今、ここで犯 されて)』
その後殺されたら、ボスはどうなっちゃうのかな。
また彼が独りになってしまう。
寂しさで、きっと生きていなくなる。
蘭ちゃんと、ボス。
私は一体誰が大切なんだろう。
本当に、なんでこういう時ってこんなことしか考えられないのだろう。
「ッハ、へッ…」
嫌だ。
死にたくない。
死ねない。
どっち、なんてわからない。
どっち、なんで選べない。
でも、私は、帰りたい。
冷たいようで、温かいあの場所に。
彼らのところに。
蘭ちゃんのところに。
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水原カノ(プロフ) - エリザベス女王さん» コメントありがとうございます☺️随分遅くなってしまい本当に申し訳ないです…しっかり再開する予定ではありますのでお待ちいただけると幸いです！ (2022年11月13日 16時) (
レス) id: dc8eb8059d (このIDを非表示/違反報告)
エリザベス女王 - 蘭ちゃんが尊い､､､‼️更新頑張ってください！あと続編おめでとうございます！楽しみに待ってます❤ (2022年7月11日 6時) (レス) @page26 id: f466090db3 (このIDを非表示/違反報告)
水原カノ(プロフ) - 華さん» いつもコメントありがとうございます！頑張ります〜(*´-`) (2022年5月9日 13時) (レス) id: dc8eb8059d (このIDを非表示/違反報告)
華 - こちらの作品も続編、おめでとうございます！これからも頑張ってください！ (2022年4月20日 23時) (レス) @page4 id: a19f9ab121 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水原カノ
| 作成日時：2022年4月20日 17時
