相思相愛2【灰谷蘭】

56.にかいめ-side ran- ページ25

◾️



「一応確認だけど、初めてではねーよな」


『はい…1週間くらい前にボスと、初めてシて…でも、それ以来は何も』


「りょーかい」



よは、まだ2回目。

体も慣れていないだろうし、Aを傷つけないように努めようと俺は頑張ることを決める。



「痛かったり、嫌だったりしたら絶対ぇ言って。蹴っても殴ってもいいから」


『…は、い』



Aは緊張してるのか、さきほどから少し体が震えている。

そんな彼女を、そっと起き上がらせ、対面になって座らせる。



「きんちょーしてんの？」


『……ん』



頬を紅潮させて、少しだけ涙を溜めている姿はこの上なく俺を煽るには十分。

彼女の両手を握ると、すぐに握り返してくれる。



「やめとく？」



そう声をかければ、すぐに頭を横に振って「っそれはいやだ」と珍しく声を上げた。



『大丈夫…です、ただ…緊張、その…幻滅されるのが…怖くて』


「幻滅？」


『蘭ちゃんに全部見られて、蘭ちゃんとつながって…こんなもんかって思われるの…っ、怖くて…！』



ポタポタと涙がこぼれて、俺のベッドのシーツを濡らす。

ひたすら静かに彼女は涙を流し、俺はそれを人差し指で拭った。



「ンなこと全然考えなくていーから」


『っぇ………？』


「まぁ、確かに気にすんのも仕方ねーけど。俺は体の相性がどうとかお前の全部見てどうとかじゃなくて、Aの目見て、触れて、一つ一つお前の温もりを感じたいだけ」



なんの偽りもない言葉だったが、まだ温もりを知ったばかりの彼女には難しいのかもしれない。



◾️

57.無我夢中-side ran-→←55.禁忌

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す