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藤原side

満たされない、と感じることが最近増えた。

メンバーと笑い合っていても、

収録でとてもいい手応えを感じても、

大橋と家で過ごしていても、

なにか足りない。常に胸にすっと冷たい風が吹いているような。

精神的に不安定になることも増えた。

いきなり怒ったり、泣いたりする。

大橋には心配をかけているが、自分ではどうにもできない。

ゆったりとした強い力で動かされているようだ。

なんだかなぁ、とため息をついて楽屋で首を回す。

ゴキッ、と嫌な音がした。

いってぇ、と呟くも、一人の仕事だから誰が返事してくれるわけでもない。

運動不足なんかなぁなんて的はずれなことを考えていると、

コンコン、とドアをノックされた。

スタッフさんかなぁ、でもまだ早いよなぁ、と呑気に構えつつ、

はぁい、と返事をする。

カチャ、と開いたドアの向こうにはあまり歓迎したくない人物が居た。

プ「やぁ、こんにちは。藤原くん。」

藤原「…こ、こんにちは。お久しぶりです。いつもお世話になってます。」

失礼になってはいけないと立ち上がって当たり障りのない挨拶をする。

プ「そんな固い表情しないで〜。座って座って。」

にこにこと人当たりの良さそうな笑みを浮かべ、ソファに図々しく腰掛ける。

俺には不気味な笑いにしか見えなかったが。

藤原「いやいや、、座るわけにはいかないっすよ。

……なにかありましたか?わざわざプロデューサーさんがいらっしゃるなんて。なにかあったなら、、」

プ「あのさ。前に俺が言ったこと。考えてくれた?」

失礼だが一刻も早く出ていってもらおう、と言った言葉を遮られ、

いきなり本題に入られた。

その迫力に足が少し震える。

プ「こっち来な?話しようや。」

Glareを発されては敵わない、

正常な思考ができるうちに、と俺は近づいた。

プ「今日は素直やん。で?考えてくれたんよね?

……というか、答えは決まっとるはずなんやけど(笑)」

俺はどうしたらこの場を切り抜けて助けを呼べるか考えていた。

強行突破だと俺はDomには敵わない。

誰かに電話するか、時間になってスタッフさんが呼びに来てくれれば、、、

余裕を持って来てしまったことを少し悔やむ。

プ「なぁ。早く答えてや。決まっとるやろ?Sランクとあいつや。悩むまでもないやん(笑)」

答えてはいけない。俺の日常を守るためにも、大橋を守るためにも。

話を引き伸ばせば、誰かが来てくれるかもしれない。

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作者名:哀川樹 | 作成日時:2022年9月30日 22時

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