初恋の君が知っている ~*探偵チームKZ事件ノート~*

12-C ページ46

・ 彩 side



　「…メッセージ…？」



　差し出された紙。

　それは、事件ノートに挟まれた、
　ユリのメッセージの便箋によく似ていた。



　「レイが拾ったボトルの一番底に、
　隠すような形で張ってあった。

　…読んでみて。」



　若武が、我先にと紙に手を伸ばし、
　声を出して読み上げた。



　「羚亜ちゃん、ごめんなさい。

　7年前の事件、私は知っているの。

　早く、解き放ってしまいたい。


　今度のパーティーで、言わせて？

　私、すごく責任感じてる。


　本当に、ごめんなさい。 ユリ。」


　「パーティー!?」



　初耳だ、って顔で、確認するように
　文面を若武から奪い取るレイ。



　「俺が行かせていただきました、ご主人様。」



　チラ、とレイが黒木くんを鋭く睨む。



　「ユリ、悠由に保護されて、窮屈だったらしい。

　犯行がバレないように、ね。」



　だから、変わってるって言われたんだろうな。



　「報告は、以上。」



　黒木くんは、フッと肩の力を抜いた。

　緊張してたんだ、意外。



　「アーヤ、事件をまとめてくれる？」



　訳が分からなくなってきた、と、
　小塚くんは、頭を横に振った。



　「はい。事件内容は、先程の通り。


　黒木調査員の報告から、
　メッセージは2つあったことが判明。


　新たに見つかったメッセージには、

　7年前の殺人事件の告白が書かれていた。


　この事件の実行犯は涼丘家の跡継ぎ、百合子。

　計画したのは、悠由。


　悠由は、美野家に産まれた羚亜を恨んでいる。

　非常に嫉妬深く、変わり者。


　事件後は、百合子を隙なく育てあげ、

　厳重な保護を続けている。」


　「うん、いいんじゃないか。」



　若武が、大きく、何度も頷いた。



　「異議あり。」



　途端、上杉くんの冷たい声が響いた。




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