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Episode123 ページ36

「せんせー、お茶をお持ちしました。」

「ありがとう、木村君。」

Aが成り変わったのは有島の第二秘書、木村。
第一秘書は鈴木という女だ。

捜査開始から早くも五日。
業務にも慣れていたところで、そろそろ動き出しても良いだろう。

木村の仕事は有島のスケジュール管理。
普通なら第一秘書の仕事だが、彼女の業務は書類整理と政治家や経営者との付き合いのマネジメント。
恐らく犯罪の証拠となる書類を自分が管理し、商売相手との関係を築くためなのだろう。

有島の休みは火曜と日曜の週二日。
しかし、実際は日曜だけ。
火曜はマフィアとの取引や密輸商品の管理をしている。

「こっちが午前中に確認してほしい書類でーす。あと、お昼ご飯の後に上の方で会議があるっぽいですよ。」

Aにとっての苦労はこの木村という女に成り変わること。
この女、茶髪にヒラヒラした服、間の抜けた話し方。
鈴木から聞いたスケジュールを伝え、付き合いの場でニコニコするだけ。

名家の生まれというだけで秘書をしているらしい。
有島達からしてみれば、目が節穴で世間知らずのお嬢様は都合が良いのだろう。

第一秘書の座を取ってやろうと思ったのに、こんなキャラで上手い立ち回りを演じても、怪しまれるだけじゃん。

「木村さん、午後の会議の準備お願いできる?」

「はぁい。」

鈴木に頼まれ、会議室まで移動する。
部屋に誰もいないことを確認すると、どっと疲れが襲ってきた。
倒れ込むように椅子に腰掛ける。

「何だろ、仕事量は前より少ない筈なのに。てか何で実家暮らしなの?」

太宰の一方的な約束とはいえ、A自身もルパンに行きたかった。
しかし、お嬢様はまさかの実家暮らし。
父親の帰宅時間がまばらなため、夜中に簡単には身動きが取れないのだ。

こうなったら早く任務を終わらせるしかない。
鈴木を自滅させなきゃ。

立ち上がったAは資料を印刷し、お茶を煎れながら、脳をフル回転させて作戦を練った。

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noel(プロフ) - 星猫さん» いえいえ、ありがとうございます (2020年4月14日 19時) (レス) id: fd0be5fd69 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - こちらこそすみませんです;;更新頑張って下さいね。 (2020年4月14日 19時) (レス) id: e8084d140d (このIDを非表示/違反報告)
noel(プロフ) - 星猫さん» お誘いは凄く嬉しいんですが、今年受験生でして…。コロナのせいで今が暇なだけなので、他の方と合作は厳しそうです。誘っていただいてありがとうございます。すみません!! (2020年4月13日 22時) (レス) id: fd0be5fd69 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - あの、私と一緒に合作しませんか? (2020年4月13日 19時) (レス) id: e8084d140d (このIDを非表示/違反報告)
ぬい(プロフ) - noelさん» うれしいです! 楽しみにしてます (2020年4月11日 14時) (レス) id: 1f95c5a6f6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:noel | 作成日時:2020年4月8日 17時

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