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Episode111 ページ14

Aが風呂から上がると、中也はまだ部屋にいた。
食欲をそそる香りが漂っている。

「…オムライス!」

Aが叫ぶと、驚いた顔の中也が振り返る。

「キッチン借りてるぞ。」

「どうぞ、どうぞ。」

匂いだけで夕食を当てたA。
どうやらもう通常運転のようだ。

「髪くらいちゃんと乾かしてから出てこいよ。風邪ひくぞ。」

いい匂いがしたから、と言うAの頭を中也がタオルで雑に擦る。

「ふふ、中也さんがオムライス…っちょ!痛いですって!」

小馬鹿にしたように笑うAに、手の力を強めると、腕の中で暴れる。

大人しくAが髪を乾かしている間に、食事の準備を済ませる。

食べ終わったら、渡す。

ポケットの中にはオレンジサファイア。
中也の左手にはパープルサファイア。

「お待たせしましたー。」

いただきます、と嬉しそうに頬張るAを見ると、漸く安心感を感じる。

この後のことを考え、少しソワソワしながら中也も食べ進めていると、不意にAの手が止まる。

「どうかしたか?」

まだ三分の一ほど残っている。

口に合わなかっただろうか、それとも既に太宰と夕食を食べていたのか。

「やっぱり、まだちょっと本調子じゃないみたいで…。」

「無理すんな。」

「すみません、せっかく作って貰ったのに。」

食欲はあるのに身体が受け付けない。
目の前の美味しそうなオムライスを、恨めしげに見つめるA。

食事を終えて食器を片付けると、Aはソファに座って、手の中のアルジャーノンと戯れる。

「A、手出せ。」

隣に腰を下ろした中也に、不思議そうな面持ちで腕を出すA。

その手を取り、ブレスレットを取り出そうとした中也はある事に気付く。

「お前、この痣どうした?」

ドレスの袖で隠れていたため見えなかったが、Aの手首にはうっすらと痣が付いていた。

「あぁ、たぶん神島に押し倒された時に…。」

無理に笑って誤魔化そうとするAを、中也は黙って抱きしめる。

「悪りぃ。俺がもっと早く着いとけば…。」

自己嫌悪に苛まれる中也に、Aは静かに言った。

「大丈夫ですよ、何もされてませんから。……中也さん、」

「ん?」

「来てくれてありがとうございました。」

Aの言葉に、抱きしめる力が少し強くなった。

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noel(プロフ) - 星猫さん» いえいえ、ありがとうございます (2020年4月14日 19時) (レス) id: fd0be5fd69 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - こちらこそすみませんです;;更新頑張って下さいね。 (2020年4月14日 19時) (レス) id: e8084d140d (このIDを非表示/違反報告)
noel(プロフ) - 星猫さん» お誘いは凄く嬉しいんですが、今年受験生でして…。コロナのせいで今が暇なだけなので、他の方と合作は厳しそうです。誘っていただいてありがとうございます。すみません!! (2020年4月13日 22時) (レス) id: fd0be5fd69 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - あの、私と一緒に合作しませんか? (2020年4月13日 19時) (レス) id: e8084d140d (このIDを非表示/違反報告)
ぬい(プロフ) - noelさん» うれしいです! 楽しみにしてます (2020年4月11日 14時) (レス) id: 1f95c5a6f6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:noel | 作成日時:2020年4月8日 17時

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