Episode100 ページ2
太宰が神島を倒して奥の部屋へ進むと、Aは大きなベッドに寝かされ、その傍らで、ブライアンが愛おしそうに寝顔を見つめていた。
「お取り込み中のところ悪いのだけれど、そろそろうちのプリンセスを返してくれないかい?」
太宰の入室にも気付かないブライアンに声をかけると、うって変わって感情のない目が太宰を捉える。
「全く、使えない部下どもだ。」
Aの額に口付けを落とすと、ゆっくりと太宰の方へ近寄るブライアン。
太宰が睨みつけると、部下がやられたというのに、余裕そうな笑みを浮かべる。
「確かに、宣戦布告もなく一方的に奪うというのは紳士的ではなかった。何を望む?金かい?」
相手は世界にも勢力を展開する英国最大組織。
その名声をたった一人で作り上げた男だ。
しかし、太宰はブライアンを目の前にしても怯む事はない。
「残念ながらうちの首領の御所望は彼女だけだ。私としても君に彼女を渡すのは気に食わない。」
「日本の零細組織如きが、この僕に敵うとでも?」
挑発でも何でもない。
本気で言っているのだ。
「ふむ、確かに組織の名は強大なものだね。それは私も重々承知している。」
太宰も素直に認める。
それほどまでに組織間の力の差は歴然としていた。
「しかし、蓋を開けてみれば幹部はあのザマ。」
鼻で笑う太宰。
ブライアンは黙ったままだ。
「思うに、あの功績は君の手腕だけで作り上げたもの。違うかい?」
太宰の言葉で、ブライアンの顔に少し誇らしげな笑みが浮かぶ。
肯定のサインだ。
「僕からしたら、部下もネズミも変わらなくてね。いてもいなくても、正直どうでも良いのだよ。あれは全部兄様が雇っていた奴らの生き残りだよ。」
この男は部下を駒とすら思っていない、独裁者だ。
森さんよりもタチが悪いね。
しかし、私としては都合が良い。
「そんな君が唯一執着するのが彼女って訳だね。」
「そうさ。何を犠牲にしたって構わない。僕が望むのは二人だけの世界。」
きっと、ブライアンが組織を育て上げたのも、その理想に近づくため。
恋は盲目とは、言ったものだね。
目の前のブライアンはまるで合理的とは思えない。
「貴様らなどには渡さん!」
太宰の瞳が少し動く。
「しつこい男は嫌われるよ?」
揶揄うような太宰の言葉に、初めてブライアンが怒りの表情を見せた。
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noel(プロフ) - 星猫さん» いえいえ、ありがとうございます (2020年4月14日 19時) (レス) id: fd0be5fd69 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - こちらこそすみませんです;;更新頑張って下さいね。 (2020年4月14日 19時) (レス) id: e8084d140d (このIDを非表示/違反報告)
noel(プロフ) - 星猫さん» お誘いは凄く嬉しいんですが、今年受験生でして…。コロナのせいで今が暇なだけなので、他の方と合作は厳しそうです。誘っていただいてありがとうございます。すみません!! (2020年4月13日 22時) (レス) id: fd0be5fd69 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - あの、私と一緒に合作しませんか? (2020年4月13日 19時) (レス) id: e8084d140d (このIDを非表示/違反報告)
ぬい(プロフ) - noelさん» うれしいです! 楽しみにしてます (2020年4月11日 14時) (レス) id: 1f95c5a6f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:noel | 作成日時:2020年4月8日 17時