夕焼け色に染め上げて 弐【文スト】

Episode90 ページ42

ぼくがとじこめられてからながいじかんがたちました。
いっかげつかもしれないしなんねんもかもしれない。
くらいおりのなかではなにもわかりません。

ときどきおじさまがきてはぼくにひどいことをします。とってもいたいです。
いのうりょくをつかってやめさせることもできます。

でもぼくはがまんするのです。
ぼくががまんしないとおじさまはぼくのかわりにねぇさまをいじめるかもしれないからです。

きょうもまたおじさまがやってきました。

「生きてるかーネズミちゃん？」

ぼくとあそんでいたあるじゃーのんはすぐにぼくのずぼんのぽけっとにかくれます。

おじさまはみえるところにはけがをさせません。
ねぇさまにあうときにぼくのけがをかくさなきゃいけないからです。

おなかとせなかとかた。
あとはふとももがいつもやられます。

おじさまがぼくにいじわるをするのはぼくがねぇさまをひとりじめするからだそうです。
ぼくはねぇさまになかなかあえないのにおじさまはまいにちあっています。
ひとりじめしているのはおじさまなのにおかしいとぼくはおもいます。

それからぼくがおとうさまににているのがいやだそうです。
ぼくはおとうさまのきおくがないからそんなことをぼくにいわれてもしかたないのになとおもいます。

「明後日から僕はイタリアなんだ。しばらく会えない分、帰ってから可愛がってあげよう。」

ぼくをたくさんなぐったあとおじさまはいやなわらいかたをしながらでていってしまいました。

おりのなかはまたしずかになります。
ぽけっとからでてきたあるじゃーのんとふたり。
あるじゃーのんはとってもあたまがよくてぼくよりかしこいです。
でもぼくもあるじゃーのんにかちたいからときどきてをかませてしろいへやにいきます。
くろいところにずっといるのはきらいです。

まただれかはいってきました。
こんどはおじいさまです。
きょうはおきゃくさんがたくさんいるなとぼくはおもいました。

おじいさまはすごくなきそうなかおをしてぼくのまえにきました。
けれどなにもいうことができません。

ぼくはおじいさまはなにかぼくにいいにくいことがあるんだろうとおもってあるじゃーのんにおじいさまをかませました。

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