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Episode85 ページ36

__________二年前




暗殺任務を終えたジェーンは夜の街を歩く。
普段なら、会えないとはいえ、チャーリーのいる家にすぐ帰るのだが、今日は母親の命日。
そして任務の場所は偶然にも、ウェールズで住んでいた家の近くだった。

感傷に浸りながらゆっくり帰るのも、たまには悪くない。

このまま逃げてしまうこともできる。
三年で身につけた能力があれば、一人でも身を隠しながら上手く生きていける。
死んだとしても、その時はその時。

ただ、チャーリーがいる。

自分が逃げれば、チャーリーは必ず殺される。
何より、チャーリーなしでは生きていけない。

ブライアンもそれを理解しているからこそ、最近では自分が任務で一人外へ出ることも許していた。

「最近チャーリーに会えてないわ。」

チャーリーも既に十歳になった。
上手く話せないのは相変わらずで、自分が見ていないところでどう生活しているのか、ずっと気がかりだった。

「使用人は多いし、不自由はしてないんでしょうけど、寂しい思いをしてないかしら?」

少なくとも自分は寂しかった。
チャーリーと庭で遊んで、おしゃべりをして、動物を捕まえて、森を駆け回りたい。

たまにリチャード達に連れられて部屋に来るチャーリーは、自分と同じように、堅苦しい服に身を包んで、居心地悪そうにしている。

「お嬢ちゃーん、こんな夜中に女の子一人じゃ危ないよー?暇してるならお兄さん達が相手してあげる!」

背後をついてくる酔っ払いを撒くために路地を曲がり、軽やかな身のこなしで建物の上に登る。

夜風に当たりながら屋根を歩くのも悪くない。
怪盗になったような気分だ。

月明かりの下で軽やかに屋根から屋根へと飛び移る。
三ブロックほど進んだあたりで、ベランダに腰掛けて鼻唄を歌う老婆を見かけた。

「コソ泥かい?あたしゃ何も持っちゃいないよ。」

「ご老人から何も頂いたりしませんわ。」

何となく隣に腰掛けると、老人は物珍しげに顔を覗き込んでくる。

「私、何か顔に付いています?」

老婆は何か懐かしいものでも見るような表情で固まっている。

「お前さん、珍しい瞳の色をしておるの。同じ瞳の女を一人知っておる。」

自分と同じ瞳を持つ女、加えてここは母親がよく買い物に来ていた街。

「その人、赤毛のような黒髪じゃありません?」

「何じゃ、知り合いか。奇妙なこともあるもんじゃな。今日はちょうどその女の命日でな。ほれ、そこの門で三年前に自ら命をたったんじゃ。」







「……え?」

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noel(プロフ) - あやねっちさん» 嬉しいです!!ありがとうございます、これからも頑張ります (2020年4月4日 18時) (レス) id: fd0be5fd69 (このIDを非表示/違反報告)
あやねっち - 1からここまでよみました 最高でした更新楽しみにしていますね (2020年4月4日 16時) (レス) id: a393e3772d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:noel | 作成日時:2020年3月30日 9時

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