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Episode82 ページ33

「それからジェーンはチャーリーを守るために、ブライアンの命令を何でもこなすようになった。」

リチャードの話を、中也は黙って聞いていた。

チャーリーってのは弟の名前だったのか。
それにしてもあいつがマフィアボスの令嬢とは…。

次第に明らかになっていくAの過去。
あまりのことに中也もなかなか理解が追いつかない。

「命令といってもブライアンの気に入ったドレスを着たり、暇さえあれば外出に付き合ったり、一緒に寝たりするだけじゃった。」

まるで幼い子供が人形遊びをするように。

中也はAに着せられた黒のドレスを思い出す。
壊れ物の人形に触れるように優しく、でも逃さないように、しっかりとAを抱くブライアンの腕。

「しかしジェーンはチャーリーの事で頭がいっぱいじゃった。私はバレないように、ブライアンの隙を見計らっては、チャーリーとジェーンを引き合わせていた。」

マフィアの上下関係は絶対。
それは例え実の親子でも変わらない。
手引きがバレればリチャードの命も危うかっただろう。

「初めのうちはうまくいっておったのだ。日中は本を読んだり、手芸をしたり、料理をしたり、ブライアンの話し相手になる。私が手引きせずとも、ブライアンの監視下で月に一度はチャーリーにも会えた。」

あいつの器用さはそこからだったのか。

さぞ暇を持て余していた事だろう。
自然豊かな田舎町から一転、遊び相手もいない、男の同行なしには、外にも出られない広い家の中。

「あれはジェーンが屋敷に来てから初めてのクリスマスじゃった。ジェーンがチャーリーのために靴下を編んだ。それがあいつに見つかった。」

思い出す事も苦しそうにリチャードは言葉を紡ぐ。

「ジェーンは傷付けたくない、しかしチャーリーを殺せば、ジェーンが自分に従う理由がなくなる。考えたブライアンは、ジェーンに靴下の編み方を教えたメイドを、あの子の目の前で殺した。」

リチャードは顔を覆い、その手は小刻みに震えている。

自分のせいで罪のない命が消された。
十一歳の少女は何を思ったのだのだろう。

「そして返り血に染まったジェーンを見たブライアンは……完全に狂ってしまった。」

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noel(プロフ) - あやねっちさん» 嬉しいです!!ありがとうございます、これからも頑張ります (2020年4月4日 18時) (レス) id: fd0be5fd69 (このIDを非表示/違反報告)
あやねっち - 1からここまでよみました 最高でした更新楽しみにしていますね (2020年4月4日 16時) (レス) id: a393e3772d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:noel | 作成日時:2020年3月30日 9時

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