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Episode81 ページ32

『マフィア』、自分の人生とは関わりがないはずだった言葉。
しかし今目の前にいる祖父は元マフィアボス。

ジェーンには到底信じられなかった。

「ここからが大事な話なのじゃ、聞いておくれジェーン。」

今までの話すら呑み込みきれていないジェーンを、リチャードは必死に話へ引き戻す。

「今朝、お前の母親が街に出たじゃろう?その時に事故にあって、彼女も亡くなってしまったのじゃ。だからブライアンがお前達を連れ戻した。」

次々と告げられる事実にジェーンはこれは夢ではないかと疑った。

お母様が死んだ?
今朝まであんなに元気だったのに?
いってらっしゃいのキスをしたのに?
お土産にキャンディーを買ってくると約束したのに?

リチャードの言葉はジェーンの耳に入らない。

「あまりに突然で、ブライアンも混乱してしまったのだよ。チャーリーを地下に閉じ込めてしまった。」

チャーリー……。

弟の名前を聞き、現実に引き戻されるジェーン。

「これからブライアンはチャーリーに酷いことをするかも知れない。お前にもじゃ。私がお前達を守るが、ボスであるあいつに逆らう事はできん。だからジェーン、」

何があってもブライアンの言う通りにしろ。
自分とチャーリーの安全を守るために。

リチャードの話はあまりにもめちゃくちゃだった。

父親が死んだからといって、何故ロンドンを離れなければならなかったのか。
まだ元気なリチャードではなく、二十代に入ったばかりのブライアンがボスの座に着いたのは何故なのか。
行方知れずだった母親が亡くなったことをどうやって知ったのか。
何故、話もせずにジェーン達を連れ戻したのか。
何故ジェーンはここにいて、チャーリーだけが閉じ込められるのか。

しかし、混乱しているジェーンはその事に気付く余裕もない。
まだ十一歳の子供は、大人しく言葉に従うしかない。

「わかってくれるかい?」

「……私が叔父様に逆らったら、叔父様を怒らせたら、チャーリーがいじめられちゃうの?」

ゆっくりと言い聞かせる様に頷くリチャード。
ジェーンはブライアンの鋭い瞳を思い出す。

「私……わかったわ。チャーリーのためですもの。」

ジェーンの返答に漸くリチャードも微笑みを取り戻す。

「ありがとう。さぁ今日はもうおやすみ。」

ベッドに寝かされ、ジェーンはチャーリーを思いながら、眠りについた。

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noel(プロフ) - あやねっちさん» 嬉しいです!!ありがとうございます、これからも頑張ります (2020年4月4日 18時) (レス) id: fd0be5fd69 (このIDを非表示/違反報告)
あやねっち - 1からここまでよみました 最高でした更新楽しみにしていますね (2020年4月4日 16時) (レス) id: a393e3772d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:noel | 作成日時:2020年3月30日 9時

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