Episode61 ページ12
この状況は……。
中也は現在、頭を抱えていた。
二人とも風呂から上がり、いざ寝るとなって問題が生じた。
俺の部屋で寝ろ、と中也は言ったものの、寝室にはキングサイズのベッドが一つ。
一先ずAだけベッドに寝かせると、寝付きが悪いと悩んでいた割にはすぐに眠りについた。
人が側にいると落ち着くようで、中也の手を握ったまま眠っている。
「俺もそろそろ寝ねぇと、さすがに三日も寝ずにいるわけにもいかねぇしな。」
三日後の相手は英国最強。
万全の体調で臨まなければ流石の中也もどうなるかわからない。
リビングのソファで寝ようと思ったが、眠っていると余計に幼く見えるあどけない寝顔に、手を離すことが躊躇われる。
「仕方ねぇか。」
諦めてAの身体を少し端に寄せ、中也もベッドに潜り込む。
手は繋がれたまま、Aが少し身じろぐと普段のAとは異なる、中也と同じ匂いがする。
時々苦しそうに呻くAを、衝動的に抱きしめる。
すると少し表情も和らぎ、擦り寄ってくる。
「……本当に子供みてぇだな。」
「…ち……ゃ…。」
何かを呟くA。
寝言か?
次の瞬間、Aは閉じられた瞳からポロポロと涙を流す。
突然のことに動揺する中也だが、どうすることもできない。
「……Ch…ie…」
誰かを呼んでいるようだ。
握り締められた手に、中也はAの背中に手を当て、小さな子供をあやすように摩る。
「…Charlie, Charlie……My……dear.」
『愛しのチャーリー』
その名前を呟きながら、Aの頬を絶え間なく涙が伝う。
チャーリー……。
夢に出てきたガキか。
中也の腕の中で、涙ながらに別の男の名前を呼ぶ。
「誰だよ、そいつ……。」
きっと、起きてもAに夢の記憶はないのだろう。
その記憶がいつのものなのかわからない。
男がまだ生きているのか、生きているならどこにいるのか、幾つなのか。
思い出したらこいつは……。
その男の元へ行ってしまうのか。
咄嗟に浮かんだその考えと、固く噛みしめられた唇に気付く。
こいつが求めてるのは俺じゃねぇ。
その事が嫌に頭を悩ませた。
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noel(プロフ) - あやねっちさん» 嬉しいです!!ありがとうございます、これからも頑張ります (2020年4月4日 18時) (レス) id: fd0be5fd69 (このIDを非表示/違反報告)
あやねっち - 1からここまでよみました 最高でした更新楽しみにしていますね (2020年4月4日 16時) (レス) id: a393e3772d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:noel | 作成日時:2020年3月30日 9時