検索窓
今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:43,827 hit

Episode79 ページ30

「どうしたんだいジェーン?全然食べてないじゃないか。昼も食べてないんだろう?きちんと食べないと、育ち盛りなんだから。」

真っ黒なドレスを着せられ、ブライアンと共に食事を取るジェーン。
しかし頭は母親とチャーリーの事でいっぱい。
食事は全く手につかなかった。

「僕が食べさせてあげようか?」

ジェーンの隣に腰を下ろし、口元に食べ物を運ぶブライアン。

既にジェーンも、明らかに彼の様子がおかしいことを理解していた。
チャーリーの存在を知らない。
母親の話をしない。
何より、ジェーンを見つめる視線が、明らかに姪に対するものではない。

それはまるで恋人を見つめる様な、異性に対する熱を含んだ視線だ。
幼いジェーンにはまだそこまで理解することはできなかったが、ブライアンの異変には気付いていた。

「ほらジェーン、口を開けて?」

ジェーンが首を振ると、ブライアンは明らかに不機嫌な態度に変わる。

「食べろ。」

威圧的に命令され、仕方なく口に入れると、ブライアンはまた優しく微笑む。

怖い……。

ジェーンの胸は恐怖でいっぱいだった。
今にも泣き出しそうだった。

胃の辺りがムカムカする。
無理矢理飲み込んだ食べ物が逆流しそうだ。

「ほら、これも食べて。」

我慢の限界だった。

「うっ……ゲホッ、ゲホッ。」

堪えきれず、吐いてしまう。
床に敷かれた絨毯が汚れる。

「大変だ、誰か!水を持って来てくれ!」

機嫌を損ねてしまうかと思ったが、ブライアンは優しくジェーンの背中をさする。

使用人が絨毯を片付ける。

差し出された水を飲むと、少し回復した。

「ありがとうございます。」

「大丈夫かね、ジェーン。」

懐かしい声に顔を上げると、水をくれたのは祖父、リチャードだった。

「お爺様……!」

七十代とは思えない若々しい顔に、優しい笑みを浮かべている。
しかし、ブライアンのこともあり、ジェーンは素直に再会を喜ぶことができない。

「具合が悪いんだね、ジェーン。今日はもう休もう。僕が一緒に寝てあげるよ。」

ブライアンの申し出にジェーンは再び固まってしまう。

「申し訳ありませんがボス、今夜は大事なパーティーがございます。そろそろ支度をして頂かないと。」

何故か、息子であるブライアンに敬語を使い、頭を下げるリチャード。

「ッチ。こんな日に限ってパーティーか。」

「ジェーンの事は私にお任せください。」

その申し出に、ブライアンは仕方なくジェーンの額に口付けをし、部屋を出ていった。

Episode80→←Episode78



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (34 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
61人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

noel(プロフ) - あやねっちさん» 嬉しいです!!ありがとうございます、これからも頑張ります (2020年4月4日 18時) (レス) id: fd0be5fd69 (このIDを非表示/違反報告)
あやねっち - 1からここまでよみました 最高でした更新楽しみにしていますね (2020年4月4日 16時) (レス) id: a393e3772d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:noel | 作成日時:2020年3月30日 9時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。