Episode79 ページ30
「どうしたんだいジェーン?全然食べてないじゃないか。昼も食べてないんだろう?きちんと食べないと、育ち盛りなんだから。」
真っ黒なドレスを着せられ、ブライアンと共に食事を取るジェーン。
しかし頭は母親とチャーリーの事でいっぱい。
食事は全く手につかなかった。
「僕が食べさせてあげようか?」
ジェーンの隣に腰を下ろし、口元に食べ物を運ぶブライアン。
既にジェーンも、明らかに彼の様子がおかしいことを理解していた。
チャーリーの存在を知らない。
母親の話をしない。
何より、ジェーンを見つめる視線が、明らかに姪に対するものではない。
それはまるで恋人を見つめる様な、異性に対する熱を含んだ視線だ。
幼いジェーンにはまだそこまで理解することはできなかったが、ブライアンの異変には気付いていた。
「ほらジェーン、口を開けて?」
ジェーンが首を振ると、ブライアンは明らかに不機嫌な態度に変わる。
「食べろ。」
威圧的に命令され、仕方なく口に入れると、ブライアンはまた優しく微笑む。
怖い……。
ジェーンの胸は恐怖でいっぱいだった。
今にも泣き出しそうだった。
胃の辺りがムカムカする。
無理矢理飲み込んだ食べ物が逆流しそうだ。
「ほら、これも食べて。」
我慢の限界だった。
「うっ……ゲホッ、ゲホッ。」
堪えきれず、吐いてしまう。
床に敷かれた絨毯が汚れる。
「大変だ、誰か!水を持って来てくれ!」
機嫌を損ねてしまうかと思ったが、ブライアンは優しくジェーンの背中をさする。
使用人が絨毯を片付ける。
差し出された水を飲むと、少し回復した。
「ありがとうございます。」
「大丈夫かね、ジェーン。」
懐かしい声に顔を上げると、水をくれたのは祖父、リチャードだった。
「お爺様……!」
七十代とは思えない若々しい顔に、優しい笑みを浮かべている。
しかし、ブライアンのこともあり、ジェーンは素直に再会を喜ぶことができない。
「具合が悪いんだね、ジェーン。今日はもう休もう。僕が一緒に寝てあげるよ。」
ブライアンの申し出にジェーンは再び固まってしまう。
「申し訳ありませんがボス、今夜は大事なパーティーがございます。そろそろ支度をして頂かないと。」
何故か、息子であるブライアンに敬語を使い、頭を下げるリチャード。
「ッチ。こんな日に限ってパーティーか。」
「ジェーンの事は私にお任せください。」
その申し出に、ブライアンは仕方なくジェーンの額に口付けをし、部屋を出ていった。
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noel(プロフ) - あやねっちさん» 嬉しいです!!ありがとうございます、これからも頑張ります (2020年4月4日 18時) (レス) id: fd0be5fd69 (このIDを非表示/違反報告)
あやねっち - 1からここまでよみました 最高でした更新楽しみにしていますね (2020年4月4日 16時) (レス) id: a393e3772d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:noel | 作成日時:2020年3月30日 9時