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50(Kiside) ページ10

太輔の指輪…宝物なんだって、いつか太輔が言ってた。

失くしちゃいけない

そう思って、バッグに仕舞おうとしたんだけど…





「はぁ…はぁ…結構…重いっ…」





シルバーの太めの指輪は想像以上に重い。





「…ちょ、ちょっと…休憩…」





指輪をテーブルに置いた時聞こえたスタッフの声。





「やべっ!」





慌てて鞄の影に隠れる。





「ここかな。…あ、ありました!」





スタッフが楽屋の中の倉庫で何やら探している様子。





「うわっ!すっげぇ埃…ゴホッ」

「おいっ!ここで払うなよ!ちょ…換気…」





スタッフは、窓を開けて楽屋を出て行った。





「…危なかったぁ。」





ホッと息をついて、再び指輪の方へ向かおうとした時だった。





「あっ!」





窓から入って来た風が、テーブルの上の書類を吹き上げる。

そして、書類の上に置いていた指輪が、書類と共に吹き上がりそのまま床に落ちた。





「あああっ!」





そして、落ちた指輪はそのまま床を転がり、さっきスタッフが開けた倉庫のドアの僅かな隙間の中へ…





どうしよう…太輔の大切な指輪…

俺が書類の上に置いたりなんかしたからだ…





「ぅ…っ…」





ダメだ。泣いてる場合じゃない。

周りを見渡すと、太輔が買ってくれたウエストバッグが目に入った。

バッグのベルトを両手で抱え、ゆっくりとテーブルの下へ落とした。

ちょうど床ギリギリの所へ届く長さ。




ちょっと怖いけど…




ベルトの穴や飾りに足をかけゆっくりと床へと降りた。





「…ふぅ…低いテーブルで助かった…」





影に隠れて扉を見たけれど、誰かが入って来る気配は全くなかった。





「よし。」





さっき指輪が入って行ったドアへとダッシュ!

ドアの隙間はちょうど俺が入れる幅で…

隙間から入る楽屋の明かりを頼りにゆっくりと中に入り、指輪を探す。





「ん〜、ないなぁ…あ、あった!」





指輪は幸いドアの近くの荷物に当たって止まっていた。





「良かったぁ…よし!帰ろう♪」





指輪を担いで元いた場所へ、光を目指して倉庫を出ようとした時だった。


バサバサッ


頭の上から大きな布が降って来た。





「うわぁっ!何これ!?何にも見えないっ!!」





何とか脱出したけれど、さっきまで見えていた光を見失い完全に俺は迷子になってしまった。





「ふぇっ…太輔ぇ…皆ぁ…」





呼んでも叫んでも、助けが来る気配は少しもなかった。





.

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作者名:MISA | 作成日時:2014年8月31日 9時

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