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76(Fside) ページ36

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今日は6人での雑誌撮影。

すっかり元気になった宏光を連れて、いつものスタジオへやって来た。



そうここは、あの時の楽屋…。

この場所で、俺達の生活は一変した。


窓の外はあの時と同じ青空。





「なんか…懐かしさすら感じるね。」

「うん。まだ10日程しか経ってないのにね…」





表向きはまだ宏光は病気療養中のまま。

復帰がいつになるか分からないと、延期していた撮影も6人で行う事が決定した。

まぁ…新番組も宏光の復帰を待つと言ってくれたみたいだし…

とりあえず落ち着いたって感じか…





「あの時もこんな風に2人で話してて…」





そうだった。

2人で向かいあって座って…


『藤ヶ谷、その進行表、次見せて。』

『ん?あ、もういいよ。…はい。』


あの時はまだ、2人きりの空間にぎこちなさを感じていたっけ。





「太輔、そのパンちょうだい!」

「ん?あ、はい。」

「よっしゃ、太輔見てろよ!今日こそ、クリームまで到達してやるからなっ!」

「……」





随分と状況は変わったけど…





「太輔っ!こいつ、やっぱ手強い…ちくしょーっ!クリームどこだよッ!」

「……」






…今日もいい天気…





「ん?」

「…どした?太輔。」

「あ!」

「あ?」

「ああああぁぁぁぁっ!猫っ!宏光、猫っ!」

「は?……あぁぁぁぁぁっ!」





窓の外に見えるのは、間違いない。

あの時の空飛ぶ猫。





「おいっ!こらっ、こっちに来いっ!」





宏光が叫ぶと、空飛ぶ猫はあの時と同じようにクルリと体制を変え、俺たち目掛けて掛けて来た。





「おっ!来るか?……来たぁっ!」





あの日と同じ…

背中にオッサンも乗っている。





「太輔、尻尾っ!」

「へ?あっ!」





宏光に言われて、慌てて猫の尻尾を掴んだ。



ウギャッ!





「こ、こらっ!暴れるな!」





突然の事に猫は大暴れ。

背中のオッサンは必死に背中にしがみ付いていた。





「は、離しなさい!尻尾を離しなさいっ!」

「離さない!俺、絶対離さない!離して欲しければ、宏光を元に戻せっ!今すぐ戻せっ!ここで戻せっ!」

「そうだ、そうだっ!戻せっ!」

「へ?あれ?まだ戻ってないの?」






その時、俺達の言葉にオッサンが猫にしがみ付いたまま、素っ頓狂な声を上げた。







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作者名:MISA | 作成日時:2014年8月31日 9時

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