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65(Fside) ページ25

楽屋に着くと、渉とニカがソファに座って心配そうに俺達を待っていてくれた。





「ガヤさん!」

「ごめん…」

「ミツは?」





俺は、腕に抱えた宏光をそっと渉に手渡した。





「ミツ…」





ニカは宏光の様子に泣きそうになっている。





「ミツ、どんな感じなの?」





宏光をくるんだタオルを広げながら渉が聞く。





「熱が高くて…なのに震えてて…。宏光…皆に迷惑掛けるから…このまま…死にたいって…」

「ミツっ!」





ニカは俺の言葉に目を丸くして声を上げた。

渉は宏光の体を触ると





「すごい熱いね…」





そう言って、宏光の頭を撫でた。





「ミツ…ミツ…起きれる?」

「……ん…」





小さく目を開けた宏光。





「よこお、さん…」

「うん。…体、辛いね…すぐ楽にしてあげるからね。」

「……いい…おねが、い…このまま…」

「ミツ、俺達にとってミツは大切な仲間だよ。俺達の為にもミツは元気でいて。」

「でも…」

「ミツがいなきゃ、俺達ダメなんだよ。」





渉の優しい微笑に宏光が涙を流した。





「どこか辛い所ある?」

「……だい、じょうぶ。」





宏光の表情が和らぐ。





「…まだ寒い?」

「太輔が…温めてくれたから…もう平気…」

「ん、じゃあ、少し頭冷やそうね。」





渉は小さく切ったハンカチに、冷たいペットボトルの水を浸して宏光の頭に置いた。





「…んっ…」

「ごめんね、冷たいね。」

「ううん……気持ち、いいよ…」

「ミツ、薬飲もう。その前に少し食べて。」





小さく切られた桃を渉が口に運ぶと、宏光はそれをゆっくりと咀嚼した。





「……おいし…」

「そっか、良かった。ニカがね、買って来てくれたんだよ。」

「ニカ…?」

「ミツ…桃好きでしょ?」

「うん…ニカ…ありがと…」

「全然。ミツの為なら何でもするからね。」





ニカが微笑みながらそっと宏光の髪を撫でる。





「お薬もね、ニカが買って来てくれたんだよ。飲もうね。」





小さなコップに入った液体の薬を渉がスポイトに取り宏光の口に入れた。





「…甘い…」

「んふふ。すぐに良くなるよ。もう少し、眠ろうね。」

「ぅん…。横尾さん…ニカ…ありがと…」





宏光は2人に優しく体を撫でられながら再び目を閉じた。


俺は、この時のやり取りを…



何も出来ずにただ見守る事しか出来なかった。






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作者名:MISA | 作成日時:2014年8月31日 9時

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