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64(Fside) ページ24

「宏光っ!!」

「…はぁ…っ…えっ…たい…すけ?」

「大丈夫か!?」

「…どうして…ゲホゲホッ」





抱き上げた体は、驚くほど熱かった。

なのに、宏光はカタカタと震えていて…すぐに宏光の体をタオルで包んだ。





「寒いか?」

「…だい、じょ…ぶ…」





俺の手の中で弱々しく微笑む宏光。





「なんで言わないんだよ…!」

「いいんだ…このままで。」

「え?」

「太輔に…負担…かけたくない…。このまま…死なせて…」





宏光の言葉に、思わず息を飲んだ。





「な…何言って…」

「その方が…いい…」

「宏光…お前、昨日の事、まだ…」

「太輔…」





弱々しく手を伸ばす宏光の手を握り締め、ギュッと抱きしめた。





「死なせない…。俺も、お前を失ったら生きていけないんだよ。お前は、一生…俺の傍にいなきゃけないんだ!」

「ごめん…太輔…」





そのまま気を失った宏光を腕に抱えて、スマホを手にする。





「渉っ!助けて」





病院にも行けない。

このままじゃ、本当に宏光は死んでしまう。





『太輔?どうした?もう家?』

「渉、俺どうしたらいい?宏光が…すごい熱なんだ。このままじゃ…。頼む!宏光を助けて!」

『太輔。とにかく、ミツ連れてすぐに戻って来い。』

「渉…」

『大丈夫だよ。ミツは大丈夫。お前がそんなんでどうすんだよ。ミツは…お前が守るんだろ?』

「うん…。」

『お前、仕事放って出てるって事も、思い出せよ。お前の無責任な行動は…ミツだけじゃない、皆を取り返しのつかない状態に追い込むことだってあるんだからな。』





渉に言われて、初めて我に返った。





『太輔の撮影、最後に回してあるから。』

「うん。ごめん…。」

『ミツの薬はこっちで用意しておく。ミツは大丈夫だから。気を付けて来いよ。』





最後の言葉は、いつも以上に優しい渉の声だった。



宏光を大事に抱えて、俺はまた仕事へと戻った。







.

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作者名:MISA | 作成日時:2014年8月31日 9時

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