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57(Sside) ページ17

ミツが見つかって、皆ホッと一安心。

ガヤさんの手の中で泣きじゃくるミツを見守る中…

俺の隣で、ミツと同じくらい泣いていたニカが、黙って楽屋を出て行く。





「ニカ…?」





寂しげな後姿に心配そうな玉と宮田に





「ちょっと俺、行ってくる。」





そう言って後を追った。




廊下の端に作られたバルコニー。

喫煙ルーム代わりにされているそこの小さなベンチの端に俯いたまま、ニカは小さくなって座っていた。





「ニカ、どうした?」





ニカの隣に座ると、ちらっと俺を見上げる。

その瞳は、まだ濡れたままだ。





「……」





何もしゃべらないニカに少しでも元気を分けられたらと俺はニカに話し掛けた。





「…ミツ、見つかって良かったね。いなくなった時はホント焦ったよ。」

「……」





空を見上げて、





「…いい天気だね。」





話を変えようとした時だった。





「…千賀は聞こえた?」

「え?」

「ミツの声…」

「?」

「さっき…倉庫の中で…」





ニカの声は、ビルの下から聞こえる街の喧騒にかき消されそうな程に、か細い。





「いや…聞こえなかった。」

「ガヤさんは…聞こえてたね、はっきりと。…ガヤさん、だけは…」

「ニカ…」





ニカの手が震えていた。





「ミツも…最初に叫んだのは、ガヤさんの名前だった」

「…それは…ガヤさんの指輪を探してたからだろ?」

「…本当にそう思う?」

「……」





分かってるよ。

ガヤさんとミツが両想いだってこと。

あれは奇跡なんかじゃない。

2人の絆が…ガヤさんの愛がミツの声を聞きとったんだ。





「あんなに焦ってるガヤさん、初めて見た。ガヤさんのミツに対する気持ちは本物だよ。」

「ニカ…」

「俺、ミツを思う気持ちは誰にも負けないって思ってた。でも…やっぱりガヤさんには…敵わないや…」





無理に作る笑顔。

堪らなくてニカを抱きしめた。





「…泣いていいよ。」

「……ぅぅう…」

「よしよし。」

「千賀ぁ…ふぇぇん…」





俺の胸で泣きじゃくるニカに、胸がギュッと締め付けられた。






.

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作者名:MISA | 作成日時:2014年8月31日 9時

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