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54(Kiside) ページ14

「ひっく…ぅぅ……太輔ぇ……」





あれからどれくらい経ったんだろう

未だ誰も帰ってこない。

もしかして、俺がいなくなった事に気付いてない?

いやいや、太輔に限ってそんなことはない。

でも、もうそろそろ収録が終わってもいい頃なんじゃないか?

俺…ここからもう出られないんじゃ…





「う…うぇぇぇん……クシュン…太輔ぇ…ひっく……皆ぁ…ズビッ…」





埃で鼻はムズムズするし、暗いし、どこにいるか分かんないし…

最悪・・・

でも、迷子になった時はウロウロしない方がいいって、前に母さんが言ってた。←





太輔の指輪を抱えたまま、俺はその場に腰を下ろした。





「ただいま〜。」

「ミツ〜。お待たせ〜」





その時聞こえた皆の声。





「太輔ぇ!皆ぁ!助けて〜!!!」





思いっきり叫んでみるものの、誰も気付いてくれない。

扉の向こうでは、太輔が俺を呼ぶ声が聞こえる。

皆、俺を必死で探してくれてるみたいだ。





「ここだって!…イテッ!」





皆に会いたくて駈け出してはみたものの、大きな物体に邪魔されて逃げ出すことが出来ない。





「宏光っ!…どこに行ったんだよっ…」





聞こえるのに…

大好きな太輔の声…





「太輔ぇ……会いたいよぉ…ひっく…太輔の近くにいるんだよぉ…」





泣きすぎて…もう…声も出ないよ…

俺、このまま、誰にも見つけて貰えずに死んじゃうのかなぁ…





そう思い始めた時…





「きっとここだ!」





差し込んできた光。





助かった…





立ち上がって、声を上げる。





「太輔っ!」

「うわっ!危ねぇっ!」





ドアが開いた勢いで、何かがガラガラと崩れ落ちる。




俺の声も、その音に消されてしまった…。







.

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作者名:MISA | 作成日時:2014年8月31日 9時

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