32(Fside) ページ32
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「はぁ…」
あの後、7人でこれからの事を打ち合わせして…
「…なんか…疲れたね…」
2人でマンションに帰って来た。
皆の前では気丈に振舞っていた宏光も、マンションに近付くにつれ、口数が減っていた。
「宏光?大丈夫か?」
「太輔…俺…最低だな。皆に迷惑かけて…気を遣わせて…」
小さな宏光に視線を合わせると、体をプルプルと震わせながら、ギュッと俺の服を掴んでいる。
きっと、涙を堪えているんだろう。
「宏光は何も悪くないだろ?それに…迷惑どころか、むしろ皆、宏光の事めちゃくちゃ可愛がってんじゃん。」
皆の溺愛ぶりは、半端ない。
まあ…俺も例にもれず…だけど。
「俺…戻らなかったらどうしよう…」
俯くと、宏光の目から我慢していた涙が落ちた。
「…戻らなかったら、このままずっと俺の傍にいろよ。俺が一生面倒見てやるよ。」
「太輔…」
「俺といるの嫌か?」
「嫌じゃないよ!」
宏光はブルブルと首を横に振る。
「嫌じゃない…むしろ…そうなったら嬉しい…けど…このままじゃ、太輔に迷惑掛けるだけだよ」
「迷惑だなんて思わないよ。現に今だって…俺、結構この生活楽しんでる。」
「ぅぅ……ぐすっ…」
「ほら、泣かないの!あ、そうだ!渉がさ、美味しいワインくれたんだ。宏光好きだろ?」
落ち込む宏光を元気付けたくて、いつも以上に明るい声を出した。
「ワイングラス、買っといて良かった!」
今日はいっぱい考えて、辛い未来もいっぱい想像した。
俺も宏光もちょっと酔ってないと今夜は眠れない気がする…
渉から貰ったワインと、2人分のワイングラスを掴んだ。
あ、そうだ、おつまみ…
棚をゴソゴソしていたら…見つけちゃった。
ピーナッツ。
宏光がピーナツを食べる姿を想像してみる。
「……」
よし。←
「お待たせ。今日は飲もうぜ。」
俯いたままの宏光に精一杯の笑顔を見せた。
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作者名:MISA | 作成日時:2014年8月7日 0時