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「千賀の気持ちは分かるし、皆が言いたい事も分かる。でもね…ミツの事見せる事でミツが辛い思いをするんじゃないかって…怖い。」





俺も、玉の意見に賛成だった。

事務所のスタッフをこんな風に言うのは気が引けるけど…

皆が皆俺達の味方って訳じゃない。

宏光の姿を見て、『売り物になる』と考える人もいるはず。

アイドルだって言うだけで、風当たりの強い人もいて、辛い目に合う事も度々あった。

なのに、それ以上の苦しみを宏光に与えたくはなかった。





「俺も、玉と同じこと考えてた。」





俺がそういうと、皆俯いて考え込んでしまった。





「ミツは…どう思ってる?」





グループが迷った時、冷静な考え方でグループをまとめて引っ張ってきたのは宏光だ。

今回はその宏光自身の事だから、宏光に意見を求めるのは酷だと思っていたが…





「俺は、グループの事を一番に考えて欲しいと思ってる。皆、きっと俺の事を思って考えてくれてるんだと思うけど…、どの道を選んでも、俺が皆に迷惑をかけるって事は避けられない。なら、皆の負担が軽い方を選んで欲しい。」





こんな状況でもやっぱり宏光は変わらぬ最年長でメンバー想いな宏光だった。





「ミツが辛い時は俺達も辛い。ミツが苦しい時は俺達も苦しい。誰かが1人辛い思いするなんて事、俺達の間にはないよ。」





ニカが言った途端、宏光の眼が潤んだのが分かった。



前例のない特殊な状況。

どんなに考えたって、ベストな方法なんて結論が出る訳なかった。





「北山の姿を見せる事はいつだって出来る。なら…今はこのまま様子を見る方が賢明だと思う。」





俺の言葉に皆が頷いた。





「なら後は、仕事…だよな。」





再び悩み始めた渉に、皆の眉間にも皺が寄る。





「病気って事にしても…会わせろってなったら嘘がばれちゃうしね…」





どんな方法も、宏光を傷付けそうで…言葉に出来ない…





「なら…シンプルに行こうぜ。」





こんな時、声を上げるのもやっぱり宏光で…





「俺と連絡が取れない、そう言ってくれればいい。何を聞かれても、分からないって言うのが一番単純でいいでしょ。後は事務所次第。流れに任せよう。」



多分、宏光の提案が一番良い方法なんだと思う。

宏光が言ってくれる事で、俺達の気持ちも軽くなった気がした。







「俺の為に…皆、ごめんな。」





頭を下げた宏光に、俺達はどんな事があっても絶対宏光を守ると誓った。






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作者名:MISA | 作成日時:2014年8月7日 0時

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