２１（Fside） ページ21
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「ウェストバッグなんて珍しいね。」
自動販売機から落ちたコーヒーを取りながら渉が言う。
局の中の休憩ブース。
小さなスペースを俺達4人で占領中。
「そのバック、結構良いだろ？」
ソファに置かれたバッグに皆が目を向けた時、バックが小さく揺れ、ジジジとファスナーが開く。
「「「！！！」」」
「お疲れ〜。」
「うわっ！ミツっ！」
「シーッ。声でかいよ！」
出てきた宏光に皆びっくり。
俺はそんな皆をクスクス笑いながら見ていた。
「藤ヶ谷が買ってくれたんだ〜。」
嬉しそうに話す宏光に微笑みながら、宮田とニカがバッグを覗き込んでいる。
「太輔、優しくしてくれた？」
「うん！オムライス作ってくれて、風呂もプールみたいだったんだ！」
そこまで言って急に顔を赤くした宏光。
何思い出したんだろ？(笑)
「ミツ、顔赤〜い。風呂で何かやらかしたんでしょ？」
「違うもん！」
宮田の弄りにぴょんぴょん跳ねながら否定する宏光
もん！って…可愛いすぎる。
「宮田、そろそろ良い？俺、夕方から仕事なんだわ。」
時計を見て、宮田がそうだね、と立ち上がる。
「んじゃ、宏光、渉んちで待ってて。迎えに行くから。」
「うん！」
元気に返事をした宏光を見て、ニカが叫ぶ。
「ちょ、ちょっと、ミツ、ずっとガヤさんちに住むの？」
「え…？」
そうだった。
俺と宏光が付き合ってる事は誰も知らない。
昨日はたまたま俺がオフだったってだけで…
宏光が俺んちで暮らす事、当然だって思ってたのは俺と宏光だけだ…。
「その方が良いだろ。昨日1泊して色々分かっただろうし、ミツの為にも1箇所で落ち着いた方が良いよ。」
「そうかもしれないけど…」
「今んトコ、俺が一番仕事落ち着いてるし…宏光が良いなら、俺は構わないけど…」
俺も、渉に合わせて言ってみる。
「太輔んち、綺麗だし居心地良かったから太輔んちが良い！」
俺らの空気を読んだのか読んでないのか…
宏光は無邪気にそう答えた。
「じゃ、じゃあ、俺これから暇だから、ガヤさん帰ってくるまで俺と…」
「お前んち逆方向だろ？ニカはまた遊んでやる。今日は横尾さんちの気分〜♪」
渉に抱き上げられて嬉しそうな宏光。
悲しそうに俯くニカ。
そして、そんな皆の様子に苦笑いの渉…。
何かもやもやしたものを抱えながら、宮田と局を後にした。
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作者名：MISA
| 作成日時：2014年8月7日 0時
